FoamのHPより |
まとまった杉本博司の作品を見たのは、2005年に森美術館で開催された「時間の終わり」展が最後です。
最初の部屋に展示された、数理模型と機構モデル群のセクシーな曲線に目を奪われて彼の作品をのめり込むように鑑賞し、また、能舞台や天窓が設置されたそ会場の展示デザインを総合演出したという彼の才能に圧倒された展覧会でした。
12年ぶりに彼のまとまった作品を見るFoamでは、彼の写真に焦点を絞った展覧会でした。
カメラは、人間の眼が捉えられない短い一瞬を捉えることを目的に発展してきました。
杉本の作品で面白いのは、一瞬を捉えるように発展してきたカメラで普遍的な概念や歴史、悠久の時間の流れを取り入れていることです。
「海景」のシリーズでは人工物が写り込まない場所を撮影し、現在の海のようなはるか昔、太古の海のような姿をとらえています。
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人間の眼とカメラの構造はほとんど同じですが、同じ対象物を見ても捉えるヴィジョンが違います。
「劇場」のシリーズを見ると、いつも人間の眼とカメラの違いは何だろうと考えます。
「劇場」のシリーズでは、一本の映画をシャッターを開けたまま撮影します。
人間の眼とカメラの構造はほとんど同じであり、同じ場所を見ているのですが、人間は映画のストーリーを捉え、写真ではストーリーを失った光を記録しています。コマが作り出すストーリーは抜け落ち、写真でしか見ることが できないヴィジョンがそこに生まれます。
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