オランダ黄金時代に隠された影、マウリッツと奴隷~Shifting Image, in search of Johan Maurits @ Mauritshuis Museum in Den Haag

2019年10月11日金曜日

デン・ハーグ マウリッツハイス美術館

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オランダでは今、「オランダ黄金時代(Gouden Eeuw)」の見直しが図られています。

貿易、科学、軍事、芸術がオランダで最も栄えたのが17世紀でした。海の覇者として東インド会社として中国・日本を訪れ、西インド会社としてブラジルにも渡りました。芸術の分野ではレンブラントやロイスダールが腕をふるい、ヤーコブ・ファン・カンペンがアムステルダムの王宮やマウリッツハイスなど建築の分野で活躍しました。

このようにオランダで最も繁栄した時代が「黄金時代」と呼ばれています。しかし、その華々しい表舞台を支えていたのは奴隷貿易など負の歴史です。

この負の歴史にきちんと目を向け、正しく歴史を認識しようという動きがあります。7月7日まで、マウリッツハイス美術館で開催されていた「Shifting Image - In search of Johan Maurits」もそのひとつです。



マウリッツハイスはヨハン・マウリッツによって建設されました。

彼は西インド会社の総督としてブラジルに渡り、芸術を愛する彼らしく帯同した画家フランス・ポストにブラジルの絵を描かせました。ポストの描いた17世紀のアメリカ大陸の風景や動物たちは、現在でも、当時の様子を知る貴重な資料となっています。


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マウリッツはブラジルで行った砂糖のプランテーションで財を成し、そのお金で建てたのがマウリッツハイスです。なので、17世紀には「シュガーパレス」として知られていました。

そのプランテーションには黒人奴隷が用いられ、その成功はアフリカ人の奴隷貿易にも影響を与えたと考えられています。



負の歴史を検証する動きは広がっていて、アムステルダム博物館では「オランダ黄金時代」という呼び名を使わないと発表しました。


「黄金時代」という言葉から想起される輝かしいイメージに隠されている歴史が、これから詳細に研究されていきます。自らの負の歴史を明らかにするのはつらい作業だと思いますが、オランダらしく尊敬できる姿勢だと思います。


Shifting Image, in search of Johan Maurits
2019.04.04-07.07

Mauritshuis Museum
Plein 29
2511 CS Den Haaf
https://www.mauritshuis.nl/en/
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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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