匂い立つ、夢のように美しい古代世界を我々に見せてくれるアルマ=タデマ。彼の回顧展がオランダの北、フリースランド州で開催されました。
*展示室は撮影禁止だったので、作品画像はありません。
彼が活躍したのはロンドンであり、ヴィクトリア朝の画家として認識していたので、「どうしてオランダで、しかもフリースランド州というマイナーな(ごめんなさい!)土地で開かれるのだろう?」と疑問に思っていたら、なんと彼はフリースランド州のDronrijp出身なんだそうです。
アルマ=タデマはオランダで生まれてアントワープの美術学校で学んだ後、パリへ行き、その後ロンドンへと渡ったそうです。彼の優雅な理想郷を描いた作品は、ヴィクトリア朝時代のイギリス人の趣味と合致したものでした。
展覧会では初期から晩年までの作品が網羅されています。
初期作品から彼の正確で細密な描写と色彩感覚のすばらしさに目を見張ります。教授から歴史画を描くときは絵を描く前の調査が重要だと教えられ、その教えに忠実に従った彼の作品はどこを切り取っても性格です。服飾品やテキスタイル、建築物のタイルの模様にも一切手を抜いていません。
しかし、彼の名声を確固たるものにしたのは、記事冒頭の写真にあるような古代ギリシアを描いた甘美な作品群です。澄んだ青空とひんやりとした白い大理石のコントラストを背景に、美しい男女の様子を切り取った作品にはため息がでます。
彼の作品には、恋人の語らいや船旅から帰ってきた恋人を迎える女性、プロポーズの瞬間など、人々の幸福な時間が描かれているのも人気の秘密でした。
彼の作品はよく物語性が排除されていると批判されますが、小説の挿絵や「十戒」「グラディエーター」などといったハリウッド映画のインスピレーション源となっているので、それには当たらないかな、と思いました。
フリース美術館 Fries Museum
Wilhelminaplein 92
8911 BS Leeuwarden
The Netherlands
https://www.friesmuseum.nl/en/
- Miiru
- ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog
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