カラヴァッジョの理想化を拒む平明なリアリズムや、劇的な明暗法によって浮かび出る人物表現は、バロックという新時代の美術を開花させる原動力となりました。彼の絵画技法はイタリアのみならずヨーロッパ中からやってきた画家たちによって熱狂的に継承され、世界的な広がりをみせました。
St. Jerome in Meditation, c.1605 |
《瞑想するヒエロニムス》の赤はとても印象的です。ヒエロニムスの思慮と内にある情熱が色に表れたような深くて鮮烈な赤です。10分くらい見惚れてしまいました。
実際の作品では、日に焼け乾燥した顔や手と、洋服に覆われていた柔らかい皮膚との対比が強く表れていました。
17世紀のローマには、自らの目でカラヴァッジョの作品を見たいと思う画家たちが集まっていました。
その中にはユトレヒトの画家ディルク・ファン・バビューレン、ヘンドリック・テル・ブリュッヘン、ヘラルト・ファン・ホントホルストらがいました。
彼らはカラヴァッジョの作品を見て研究し、同じテーマで描いたり、カラヴァッジョの芸術を参照しながら各々独自の芸術に昇華させました。
オランダ絵画が購買層が市民だったために一般的に自宅で飾れる小さめのサイズですが、カラヴァッジョは教会や貴族などに描いたものが多かったため、カラヴァッジョに影響を受けた画家たちの作品はオランダ絵画としてはサイズが大きいめです。
そのため、出品されているカラヴァッジョ作品が3点だけでしたが、質が高くサイズの大きなファロワーたちの作品が展示室を占めていたので見ごたえ十分の展覧会でした。
人が多くて写真を撮れませんでしたが《メデューサの首》(個人蔵)もありました。平らな画面ではなく、緩やかな球面に描かれているので、メデューサの顔がぐっと迫ってきて迫力がありました。
細かく見ると木を貼り合わせた土台の上にカンヴァスが張り付けてあって、その上に描かれているのがわかりました。
Utrecht, Caravaggio and Europe
2018.12.16-2019.03.24
Centraal Museum Utrecht
Agnietenstraat 1
3512 XA Utrecht
The Netherlands
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