ヤン・ステーンが物語る身近な聖書~Jan Steen’s Histories @Mauritshuis Museum in Den Haag

2018年3月23日金曜日

デン・ハーグ マウリッツハイス美術館 展覧会

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マウリッツハイス美術館で開催中のヤン・ステーンの展覧会へ。

ヤン・ステーンは17世紀オランダ黄金時代の有名画家のひとりです。とくに「この親にしてこの子あり」という題材は人気で、さまざなまバリエーションが残されています。そのなかでも最も大きな作品をマウリッツハイス美術館が所蔵しています。

関連記事:ヨルダーンスとヤン・ステーンの《この親にして、この子あり》~Steen & Jordaens: As the Old Sing… @Mauritshuis Museum in Den Haag


ヤン・ステーンは《この親にしてこの子あり》に描かれているような酔っ払った人々の乱痴気騒ぎや、そのほか、結婚式、ピクニック、意地悪をされて泣く子供の姿など、市井の人々を描いた風俗画で知られています。

人々の姿が生き生きと描かれた風俗画があまりに魅力的なために、ステーンは風俗画だけでなく歴史画、神話画、宗教画、静物画や肖像画も手掛けているにもかかわらず、そちらにはあまり注目されてきませんでした。

今回マウリッツハイス美術館で開催されている展覧会は、風俗画以外のステーンの作品を掘り下げてみようというものです。


こちらは旧約聖書のトビト記から題材をとった《トビアスとサラの結婚》です。聖書のお話なのに、どちらかといえば裕福な商人の結婚を描いているようです。

この作品の中で、「この人だけ雰囲気が違うぞ」と気になった人がいました。。赤い帽子をかぶった男性の右後ろにいる金髪の男性です。この人です。↓

画像が荒いので小さくしています。

青い服と髪型、それから手の形からキリストっぽいなーと思っていたら、そうではなくて、大天使ラファエロなんだそうです。(羽はどこ…?)

wikipediaによるとトビト記はこういうお話だそうです。

アッシリア捕囚で連れていかれ、ニネベに暮らすナフタリ族のトビトは善行を積んでおり、ある日、危険を顧みず殺されたユダヤ人の死体を埋葬した。穢れを嫌って庭で寝ているとすずめの糞が目におちて失明してしまう。さらにささいなことで妻をも疑ったことを恥じ、トビトは死を願う。同じころ、悪魔アスモダイのせいで夫たちが次々に初夜に死んでしまうことで悩む女性サラも死を願っていた。神はこれを聞いて天使ラファエルを差し向ける。その後、紆余曲折を経て、息子トビアの尽力でトビトの目はみえるようになり、トビアはサラについていた悪魔を追い出してサラと結婚した。(wikipedia: トビト記)

この作品はこの男性が大天使ラファエロだと判明するまでは、ヤン・ステーンのほかの風俗画のように、一般家庭の結婚の様子を描いたものだとされていたそうです。


こちらは《サムソンとデリラ》。

旧約聖書の士師記を題材にしています。デリラがサムソンの力の源である髪の毛を切らせているところですが、右側にはこんなかわいらしい子供たちの姿があります。


17世紀の子どもたちのあどけない姿が描かれています。

ステーンが物語る聖書の世界は、遠く隔てられた場所の話ではなく、その当時の人々の生活の延長上にあったのかもしれません。



Jan Steen’s Histories
2018.02.15-2018.05.13

Mauritshuis Museum
Plein 29
2511 CS Den Haag
https://www.mauritshuis.nl/en/
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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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