ルーベンスハウスの庭ってどんなところ?
ルーベンスハウスは、ルーベンスが1610年に購入し、家族と過ごした邸宅兼アトリエです。アントワープのワッパー広場に位置し、ルーベンス自身がイタリアのルネサンス建築に着想を得て改築を手がけた建物は、それ自体が芸術作品です。そして、その一角にある庭は、ルーベンスの美的センスが色濃く反映された場所です。![]() |
ワッパー広場から見るルーベンスハウス。改修されて、現在はこちらかは入れません。 |
庭は、バロック様式の柱廊(ポルチコ)に面していて、ルーベンスが設計したアーチ型の門が印象的です。庭の中央には、メルクリウスとミネルヴァの像が立ち、ルーベンスの古典への愛を感じさせます。パーゴラやパビリオンも配置され、17世紀当時のフランドルの庭園様式を再現するために、アントワープ市が丁寧に復元作業を進めています。
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お庭の一部も改修中 |
特に興味深いのは、庭に植えられている植物です。ルーベンスが暮らしていた時代に実際に育てられていた草花だけが選ばれ、歴史的な正確さを追求しています。色とりどりの花やハーブが織りなす風景は、まるでタイムスリップしたかのようです。
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17世紀フランドルを代表する植物と言えばチューリップ |
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フランドル絵画でもよく描かれるオダマキ |
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不思議な姿をした花かと思ったら…… |
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紫の花が枯れてめしべが伸びてさけたものでした |
庭を歩く、ルーベンスの暮らしに触れる
ルーベンスハウスの庭を歩くと、ルーベンスの生活や彼が大切にした美意識に思いを馳せることができます。彼は画家としてだけでなく、外交官や美術品収集家としても活躍し、ヨーロッパの貴族や知識人と交流を深めた人物です。この庭は、そんな彼が家族や来客とくつろぎ、芸術について語り合った場所だったのかもしれません。
私が訪れたのは春の午後でした。庭は穏やかな陽光に照らされ、若葉と花々が静かな美しさを放っていました。柱廊のバロック装飾やパビリオンの繊細なデザインを見ていると、ルーベンスがイタリアで学んだルネサンスの影響が随所に感じられます。
庭はそれほど広くありませんが、じっくり見ると30分ほど楽しめます。
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ルーベンスの作品にも描かれている場所 |
さいごに
正直、ルーベンスハウスはアントワープの他の観光地(聖母大聖堂やグローテ・マルクト)に比べると、派手さはないかもしれません。でも、だからこそ、ルーベンスの絵画を愛する人や静かに歴史や芸術に浸りたい人にぴったり。庭は観光客で混み合うことも少なく、ルーベンスの時代に思いを馳せながらゆったりとした時間が過ごすことができます。
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現在の入口はこちらから |
Rubenshuis
Hopland 132000 Antwerpen
▼ルーベンスの傑作のあるアントワープ聖母大聖堂
▼クリスマス仕様のアントワープ聖母大聖堂
▼アントワープ王立美術館。ルーベンス、ファン・アイク、マグリット、アンソールなどの作品が見られます
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