グラナダ大聖堂:スペイン・ルネサンスの輝きと再征服の物語~Catedral de Granada, Spain

2025年8月6日水曜日

グラナダ旅行2025 スペイン 教会

t f B! P L
スペイン、アンダルシア地方のグラナダにそびえるグラナダ大聖堂(Catedral de Granada)は、ルネサンス建築の傑作です。

隣接するサグラリオ教会(Iglesia del Sagrario)とカトリック両王のロイヤル・チャペル(Capilla Real)とともに、グラナダと、そしてスペインの歴史と文化を象徴しています。

特に、大聖堂の内部はスペイン再征服の歴史とルネサンスの美学を体現しています。この記事では、グラナダ大聖堂の内部に焦点を当てつつ、サグラリオ教会とロイヤルチャペルを簡潔に紹介します。


グラナダ大聖堂。正面左のドアから入ります。

歴史的背景

グラナダ大聖堂の建設は、1492年のグラナダ再征服に始まります。カトリック両王(イサベル1世とフェルナンド2世)がナスル朝を破り、キリスト教のシンボルとして大聖堂を計画しました。そして、1501年に着工し、1704年に完成します。

グラナダ大聖堂はルネサンス建築の巨匠ディエゴ・デ・シロエによる設計にで、ゴシックとルネサンス様式が見事に融合しています。

グラナダ大聖堂の右側に隣接するサグラリオ教会(黄緑)は大聖堂の一部として完成し、ロイヤル・チャペル(青)はカトリック両王の霊廟として建設されました。

これらの建築は、グラナダのキリスト教文化への転換を象徴する一体的な複合体となっています。

隣接する3つの教会。矢印は各入口の位置を示します:グラナダ大聖堂(赤)、サグラリオ教区教会(黄緑)、ロイヤル・チャペル(青)。© Google Maps

教会内部

グラナダ大聖堂の内部は、ルネサンスの調和と宗教的荘厳さが融合した空間です。

広大な身廊は、高さ約30メートルの円柱とアーチに支えられ、白と金の色調が光を反射して神聖な雰囲気を醸し出しています。

内部の装飾には、17世紀のバロック彫刻家アロンソ・カノの作品が随所に見られ、ルネサンスの簡潔さとバロックの劇的表現が共存しています。



主礼拝堂(Capilla Mayor)

大聖堂の中心に位置する円形の主礼拝堂はスペインの大聖堂建築では稀有な設計です。ディエゴ・デ・シロエがルネサンスの理想である調和と完全性を追求したこの空間は、直径約22メートルの円形ドームに覆われています。




ステンドグラスには聖書の場面(例:キリストの受難や聖母マリアの生涯)が描かれ、陽光を受けて色鮮やかな光が内部を照らします。


パイプオルガン


身廊上部の両側に設置された一対のパイプオルガンは、18世紀に製作されたバロック芸術の傑作です。

約4,000本のパイプから成り、精緻な木彫りのケーシングは天使、花、聖人のモチーフで装飾され、金箔で輝いています。

フランドルとイタリアの技術を取り入れたこのオルガンは、ミサやコンサートで使用されています。




私はパイプオルガンのコンサートにはまっていた時期があって、オランダ各地の教会で毎週のよう開催されるパイプオルガンのランチコンサートや国際コンサートに通っていました。そのときに、さまざまな種類のパイプオルガンを見てその音色を聞きましたが、これほど大型で立派なパイプオルガン(しかも二台!)は初めて見ました。

教会でパイプオルガンの音色を聞くと、教会全体が振動してまるで天から音が降ってくるような感動を覚えるのですが、グラナダ大聖堂のパイプオルガンは太い筒の数が多いので深みのある音色が大聖堂の広大な空間を満たしてくれそうです。特に、宗教曲やバロック音楽の演奏では、音響効果が礼拝堂のドームと調和し、聴く者を圧倒するんじゃないかと思います。




側礼拝堂

身廊の両側に並ぶ複数の側礼拝堂は、それぞれ異なる聖人に捧げられています。


側礼拝堂:Altar-retablo del Triunfo de Santiago


側礼拝堂:Capilla: San Miguel


側礼拝堂:Capilla: Virgen de las Angustias




側礼拝堂:Capilla: de Nuestra Señora la Antigua




側礼拝堂:Capilla: San Cecilio




側礼拝堂:Capilla: Santa Ana


聖具室(Sacristía)

大聖堂の聖具室は、ルネサンス様式の簡潔な装飾とアロンソ・カノの絵画で知られています。ここには、貴重な典礼用の衣装や聖杯が保管され、グラナダの宗教史を物語ります。聖具室は撮影禁止なので写真はありません。


グラナダ大聖堂に隣接する二つの教会

サグラリオ教会


サグラリオ教会は、大聖堂に隣接し、1704年に完成したバロック様式の小規模な教会で、モスクから教会へとその役割を変えた稀有な歴史をもった建物でもあります。この教会は聖櫃(サグラリオ)を安置するために建てられ、簡潔なファサードと赤い大理石の聖櫃が特徴です。


ロイヤル・チャペル

ロイヤル・チャペル(Capilla Real)は、1504年から1521年にかけてカトリック両王の霊廟として建設されました。ゴシック様式の内部には、イサベル1世とフェルナンド2世の大理石の墓碑があり、ドメニコ・ファンチェリによる精緻な彫刻が施されています。併設の博物館には、両王の遺品(イサベルの王冠、フェルナンドの剣)やフランドル派の絵画が展示され、キリスト教のレコンキスタ(再征服)の歴史を伝えています。



まとめ

グラナダ大聖堂の内部は、主礼拝堂の円形の美学、壮麗なパイプオルガン、側礼拝堂や聖具室の芸術的装飾を通じて、ルネサンス建築の頂点を体現しています。

隣接するサグラリオ教会とロイヤル・チャペルの歴史的遺産がこれを補完し、グラナダの文化的・宗教的遺産を後世に伝えています。この複合体は、スペインの歴史と芸術の交差点として、深い感動を与える場所となっています。

▼グラナダ大聖堂公式サイト
レコンキスタと深いかかわりのある場所でもある、アルハンブラ宮殿
▼キラッキラで度肝を抜かれた教会
▼グラナダで食べたい名物スイーツ
自分の写真
ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

最新記事

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ

このブログを検索

Translate

QooQ