今回は、スペインの伝統的なお菓子の中でも、ひと目見た瞬間に心を奪われる「ピオノノ(Pionono)」を紹介します。実はこのお菓子、私がスペイン・グラナダのお菓子屋さんで初めて目にしたとき、思わず釘付けになってしまった逸品なのです。
なぜなら、まるで日本の焼き麩の上にみたらし団子がちょこんと乗ったような、なんともユニークで愛らしい姿をしているから!
スペインの伝統菓子でありながら、どこか和菓子を思わせるそのビジュアルに、すっかり心を奪われてしまいました。
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ピオノノ。思わずフォークでつつきたくなる形をしています |
ピオノノとはどのようなお菓子?
ピオノノは、スペイン南部のアンダルシア地方、特にグラナダ近郊のサンタ・フェという町で生まれた伝統的なスイーツです。小さなロールケーキのような形が特徴で、ふわふわのスポンジ生地に、滑らかなカスタードクリームや生クリームがたっぷりと詰められています。そして、その上に光沢のあるシロップやクリームが飾られているため、まるで小さなお菓子のお人形のような愛らしさがあります。思わずフォークでつつきたくなる、ころんとした姿がなんとも魅力的です。
このお菓子の名前は、19世紀のローマ教皇ピオ9世(Pío IX)にちなんで名付けられたのだとか。教皇の丸い帽子(ズケット)をイメージした形が由来と言われていますが、日本人の私には、どこか懐かしい和菓子のような親しみやすさを感じさせます。焼き麩のようなスポンジと、みたらし団子を思わせるつややかなクリームの茶色が、和の雰囲気を生み出しているのです。
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スポンジのなかにもクリームがぎっしり |
気になるお味は?
ピオノノのスポンジ生地は、卵をたっぷり使用した軽やかでふわっとした食感が特徴です。口に入れた瞬間、まるで溶けるような柔らかさが広がり、幸せな気分にさせてくれます。そこに、滑らかなカスタードクリームや、スポンジに染み込んだシロップ、ラム酒、シナモンの風味が絶妙に組み合わさり、奥深い味わいを生み出しています。特に、上にのったカスタードクリームには軽い焼き目がつけられており、キャラメルのような香ばしい風味が感じられます。
他のケーキに比べると小ぶりなサイズですが、しっかりとした甘さと濃厚な味わいがあるため、この一口サイズがちょうど良い満足感を与えてくれます。エスプレッソやカフェラテ、紅茶と一緒にいただくと至福のひとときが楽しめるスイーツです。
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ピオノノ(手前)、エクレア(左奥)、カフェラテ |
スペインの甘い風を感じて
もしスペインのグラナダへのご旅行を計画されているなら、名物のチュロスを堪能した後、ぜひもう一つの地元の味「ピオノノ」をお試しください。地元のパステレリア(お菓子屋さん)のショーケースに、たくさんのピオノノが並ぶ様子は写真におさめたくなるかわいさです。日本人の私たちには、この焼き麩とみたらし団子を思わせるユニークな見た目がとても親しみやすく、愛おしく感じられるのではないでしょうか。愛らしいビジュアルと優しい味わいが、きっと心温まるひとときを届けてくれるはずです。
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私がピオノノを食べたのこちら、Pastelería el Sol |
▼伝統的なピオノノが食べられるPastelería el Sol
▼グラナダで食べたステーキ。また食べたい。
▼グラナダといえば、アルハンブラ宮殿ははずせない
▼アルハンブラ宮殿とセットで訪れてほしい礼拝堂
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