1870年頃、オランダンの美しい風景やそこで働く農民や漁師を描く画家グループがいました。彼らが活躍していた土地、ハーグにちなんで彼らはハーグ派と呼ばれています。ハーグ派は美しい景色と光を求めてアトリエを飛び出し、郊外の自然を描きました。この時代について、ハーグ市立美術館では2015年に展覧会「美しきオランダ」にて扱っています。
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そして、現在、同美術館で開催されている「都市の喧騒」展はその10年後、1880年代のオランダの画家たちに注目した展覧会です。
1880年になると急激な近代化の波がオランダに押し寄せ、アムステルダム・ハーグ・ロッテルダムなどの大都市の人口は農村よりも増加しました。それにより、カフェやショッピングアーケード、ナイトライフなど、新しい生活スタイルが生まれます。
この変化に興味を持つ画家たちが現れます。ブライトナー、イザック・イズラエルス、ウィレム・デ・ズヴァルト、ヤコブス・ファン・ローイなどです。彼らは近代的な都市で生活し、都市生活を主題に作品制作をしました。
オランダの街は第二次大戦で被害を被ったロッテルダムやハーグの一部地域などをのぞいて、それほど大きく変わっていません。ですので、展覧会中には今も馴染み深い場所がたくさんてできます。
まずは、こちら。ゴッホが描いたデン・ハーグHS駅。
Vincent van Gogh, Staatsspoor Station, 1882 |
当時の絵葉書も一緒に展示されていました。現在の駅舎は1843年開業時のものではなく、1891年に改築された2代目の建物なのですが、ゴッホの作品を見ても、絵葉書を見ても、駅前にトラムが走っていることを含めて、現在とそれほど変わらない景色が広がっています。
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Froris Arntzenius, View of the Mauritshuis in the Hague |
マウリッツハイス美術館とハーグ市立歴史博物館のある通り。今、ここの場所にはトラムは通っていません。
ちょっと角度が違いますが、美術館の美しい姿はそのままです。
George Hendrik Britner, Children Playing on Oud Loierstraat, Amsterdam |
アムステルダムの人口が増え、豊かな都市生活を愉しむ人が増えると、より賑やかな街が形成されます。大きな窓を設けた服飾店や宝石店がならぶアーケードや商店街が発達し、ウィンドーショッピングやレストランでの食事を楽しむ人々が増えました。
街は喧騒に包まれるにつれ、そこに住む子どもたちの遊び場は裏道などの車の通らない道になっていきました。
Jacobus van Looy, The Garden, 1893 |
喧騒に疲れた大都市の人々は静かで心を落ち着かせてくれる自然を求めました。そして、アムステルダムの最初の公共の公園、Oosterparkが1891年に開園し、その後、Vondelparkなどいくつかの公園が造られました。画家たちはそこに集うブルジョワジ-(中産階級)の姿を描きました。
1870年代に美しい風景とともに描かれていたのは農民や漁民などの労働者でしたが、1880年代は余暇を楽しむ富裕層が描かれるようになりました。
Rumoer in de stad
2017.04.14-2017.11.15
Gemeentemuseum, Den Haag
Stadhouderslaan 41
2517HV, Den Haag
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