ひとつはアントワープ国立美術館所蔵のヨルダーンスの作品。もうひとつはマウリッツハイス美術館所蔵のヤン・ステーンのものです。
その諺というのは”Soo d’ouden songen, soo pepen de jongen” 。(ヨルダーンス作品上部に書かれています)「老人の唄の調子に合わせて若者は笛を吹く」というもので、日本語に意訳すると「この親にして、この子あり」。
Jacob Jordaens, "The Old Folks sing, the Young Folks chirp", 1638. Royal Museum of Fine Arts Antwerp |
家族の団欒を描いたように見えますが、ここには二重の意味が隠されています。バグパイプは社会的な低い階級の意味をもち否定的な楽器でしたし、母親の帽子を華やかに飾る羽飾りは虚栄心を表します。
祖父・祖母からの悪い行いは、彼らに倣って笛を吹く孫の姿にあるように、若い世代に引き継がれています。
Jan Steen, "As the Old Sing, So Pipe the Young'" c. 1668 - 1670. Mauritshuis |
ヨルダーンスがこの作品を描いたのは1638年から約20年後の1660年代に、ヤン・ステーンは同じ諺を扱った三世代家族を描きました。二作品を比べると共通点が多いのに気づきます。幼子を膝に乗せた母親、バグパイプ、鼻に眼鏡を載せて歌う祖母。
でも、ステーンのほうが賑やかで、教育上よろしくない宴のようです。画面左の女性は椅子に横座りして胸元をだらしなくはだけ、ワインを注がせています。画面右の父親は息子にパイプ(タバコ)を吸わせています。その様子を眺めるオウムは悪癖を繰り返し告げます。
「この親にして、この子あり」は人気のあった題材のようで、バージョンの違った作品が複数枚残されています。それらのバージョンのうち、一番大きなものがマウリッツハイス美術館が所蔵しているこの作品です。
オランダの家庭はヤン・ステーンが描いた《この親にして、この子あり》をへやの壁にかけ、清貧な生活を送るための反面教師にしていたそうです。
オランダの家庭はヤン・ステーンが描いた《この親にして、この子あり》をへやの壁にかけ、清貧な生活を送るための反面教師にしていたそうです。
Steen & Jordaens: As the Old Sing…
2017.07.11-2018.01.14
Mauritshuis Museum
Plein 29
2511 CS Den Haaf
https://www.mauritshuis.nl/en/
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