3月15日に終わってしまったのですが、非常に興味深い展覧会だったので記しておきます。
20世紀ロシアの画家、カジミール・マレーヴィチの展覧会です。オランダでは2013年にアムステルダム市立美術館で大規模な回顧展が開催されたので、それの小規模なものかと思いましたが、テーマを人物画に絞ったいい展覧会でした。
マレーヴィチは他の画家とは違った画業を辿ったとても興味深い画家です。抽象的な作品を制作する画家は、一般的には具象作品から描き始めて抽象的な作品を描くにいたるのですが、マレーヴィチはさらにそこから具象へと戻り、ルネサンス様式の作品を描いて終わります。
抽象絵画から具象絵画に回帰したのは、スターリン政権下のソ連で美術に対する態度が保守化して前衛芸術が否定されるようになり、芸術家が弾圧されたからです。
晩年の自画像は確かに具象なのですが、対象を鋭く観察する視線や内省的な視線が感じられません。具象の体裁を整えつつも、抽象画で研究していたものをそのまま続けているような印象を受けました。
この展覧会場がとても凝っていて、企画した学芸員の遊びが感じられます。それに気づいたのは会場の奥の階段を上って2階から会場を見下ろしたときでした。下の写真のようになっていました。
写真だと分かりにくいと思いますが、マレーヴィチの作品が会場を形作っています。下の写真と見比べてみてください。
最初に会場入り口の地図を見た時は、「順路がわかりにくい会場だな」としか思わなかったのですが、帰りに見返すと「なるほどね~」と感心しました。
Kazimir Malevich: The Figurative Years
2014.11.23-2015.03.15
Drents Museum
Brink 19401 HS Assen
http://www.drentsmuseum.nl/website-english/home.html
- Miiru
- ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog
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