貴重な17世紀のブラジルの風景「フランス・ポスト」展~Frans Post @ Rijksmuseum in Amsterdam

2016年12月16日金曜日

アムステルダム アムステルダム国立美術館 展覧会

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アムステルダム国立美術館で開催中のフランス・ポスト展。展示室には動物の剥製があちらこちらに置かれ、美術館と博物館が一緒になったような展示室です。



オランダ・ハーレムの画家フランス・ポストは、西インド会社の総督ヨハン・マウリッツがブラジルに伴っていった芸術家や科学者のひとりで、アメリカ大陸の風景を描いた最初のヨーロッパ画家です。ちなみに、マウリッツハイス美術館の建物は、マウリッツさんの個人邸宅でした。

私が初めて見たポストの作品はマウリッツハイス美術館の所蔵作品です。



二人の馬に乗る人物と三人の奴隷のうしろに、濁った川と濃い緑の植物が生い茂る対岸が描かれています。レンブラントやフェルメールなどを見たあとだと、ちょっと拙い感じを受けたのですが、彼の真骨頂は風景や人物ではないとこの展覧会で分かりました。


ポストはブラジルで見たエキゾチックな動植物に強烈な衝撃を受け、そこに生息する動物や鳥、植物に満たされたブラジルの風景に特化した作品を制作しました。でも、初期作品は17世紀オランダの風景画に倣った、雲の多い垂れ込めた空が画面の大部分を占めています。キャリアの後半になってようやくブラジルらしい明るい色彩があらわれだしました。



カピバラがサボテンが立つ川のそばにポツンとたたずんでいます。



ああ、かわいい。モシャッている口がたまらない。





素描のほうは、より図鑑の絵のように細密に描かれています。野生動物らしい鋭い爪と首の逆立った毛に目が奪われます。

この素描を見て、ポストの真骨頂は風景画ではなくて動植物画だと確信しました。それも図鑑に載るような正確な描写です。だから、ポストの作品はいまでも当時の様子を知る重要な資料として利用されています。


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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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