このクモを制作したのは、六本木ヒルズの巨大なクモの彫刻《ママン》で知られるアーティスト、ルイーズ・ブルジョワです。
今回の展覧会で初めて、このクモを作ったアーティストが女性だということを知りました。
クモというモティーフも、織物職人であったお母さんの姿を糸で巣を張るクモに重ねたものなんだそうです。
ブルジョアの創作活動は一貫して、少女時代に受けた心の傷を癒すための行為であったと語っています。
彼女の父はブルジョワの母のほかにルイーズの家庭教師であったもう一人の女性と肉体関係を持ち、彼女も家族とともに同居しているという複雑な家庭環境にありました。そしてルイーズもまた、彼女の父によって性的な被害を受けていたと言われています。
ルイーズの作品のなかで、父の習慣を作品にしたのが下の写真です。
糸でぐるぐる巻きになったものを木につるしています。
彼女の父は、屋根裏部屋の梁に椅子をつるして保管するという習慣があり、父の残像としてこの作品が制作されました。ルイーズは父の象徴である椅子に母の象徴であるクモの糸を巻き付け、母の助けを借りて父へのトラウマを克服しようとしているようです。
木の陰で動きを封じられた父と、燦燦と陽が降り注ぐ庭をクモとなって自由に動き回る母。
木の陰で動きを封じられた父と、燦燦と陽が降り注ぐ庭をクモとなって自由に動き回る母。
2019.05.25-2019.11.03
アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum
Museumstraat 1
The Netherlands
1071 XX Amsterdam
https://www.rijksmuseum.nl/en
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