世界が未来の平和をともに語れる日がくることを願って~Henk Visch - Dance in the Court of Justice @ CODA Apeldoorn

2024年7月12日金曜日

展覧会

t f B! P L
5月にアペルドールンにある複合文化施設CODAに、ヘンク・フィシュの展覧会を見に行きました。

ヘンク・フィシュはオランダ出身の作家で、昨年第13回ヴィルヘルミナ・リング賞を受賞しました。その受賞を記念して開催しているのがこの「法廷でのダンス」展でした。

フィシュは今年初めに東京のワコー・ワークス・オブ・アートでパレスチナ出身のアーティストたちを支援する展覧会をキュレーションしていました。

東京では「現在の戦争」に、オランダでは「平和のために尽力した過去」にフォーカスをあて、対照的ではあるがどちらも世界平和を願っての展覧会になっていました。



窓のから日が差し込む展示室。そこに円になるように作品が並んでいます。



展覧会タイトルと同じ作品名をもつ《法廷でのダンス》。フィシュはこの作品が展覧会の中心作品とは考えていなくて、作品名と展覧会が同じものになったのは「たまたま」らしいです。

ここで言及されている法廷はオランダのハーグにある国際司法裁判所のことで、国家間の裁判を行います。なので、ベルは五大陸を表していて、下の部分の水色は海、茶色は陸地で地球を表現しているかなと思いました。

このベルは争いごとに警鐘を鳴らすものなのか、平和な時代に人々が踊るダンスの音楽となるものなのか、考えてしまいます。



ピート(Piet)って誰だろう?



これは、オランダのアペルドールンにある国立カナダ解放記念碑を思わせる造形です。この記念碑には対となる記念碑がカナダにもあります。国を超え、海を越え、互いに両手を挙げて向かい合って立ち、両国の友好を称えています。



この展覧会は戦争と平和を考えさせる作品が多く展示されているのですが、そもそもこの展覧会のきっかけであるヴィルヘルミナ・リング賞も国際平和に関係しています。この賞の名前ともなっているオランダ女王ヴィルヘルミナはオランダで1899年に開催された第1回万国平和会議にホスト国として参加しています。



フィシュによると、第1回万国平和会議世界が開催された1899年当時、平和について一緒に考えていたころの祝祭的な雰囲気を再現しようとしてこの展覧会をつくったそうです。

展覧会を訪れてから2か月たっても世界上は変わっていません。世界が未来の平和について前向きに考えられる日が早く来ることを願います。



フィシュの作品と作品名、ヴィルヘルミナ・リング賞やオランダの過去の歴史、そして、同時期に日本で開催されていたパレスチナ出身のアーティストたちを支援する展覧会など、それぞれの情報がレイヤーのように重なり、連想ゲームの様に平和について考えさせられ、思考が止まりませんでした。

1室だけの展示とは思えない思考量で、見終わった後はぐったりしてしまいました。



2024.03.24-06.23
Dance in the Court of Justice



Vosselmanstraat 299
7311 CL Apeldoorn




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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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