作品ガイドが無料!しかも一人一台のiPad!? スナイデルス&ロコックスハウス美術館~Snijders & Rockoxhuis in Antwerpen

2024年7月8日月曜日

アントワープ 美術館

t f B! P L
ベルギーのアントワープにある、スナイデルス&ロコックスハウス美術館(Snijders&Rockoxhuis)に行きました。

この美術館は1977年から16世紀と17世紀のフランドル美術のコレクションを展示しています。

建物は17世紀に活躍した画家フランス・スナイダース(1579年-1657年)が住んでいた家と、それに隣接する市長のニコラス・ロックックス(1560年-1640年)の家「Den Gulden Rinck(黄金の指輪)」を一つの建物として繋げて作られました。


Frans Snijders, Wild Boar Hunt 

美術館の名前にもなっているスナイダースは、アントワープで活躍した17世紀の画家です。最初はピーテル・ブリューゲル(子)の教えを受け、花や果物などの静物を描きました。

その後、狩猟風景や野生動物を描くことに卓越した技術を身につけ、動物を専門に描いた最初の動物画家となりました。ルーベンスはその腕前に感心し、スナイデルに動物や静物画を依頼することもありました。



スナイデルス&ロコックスハウス美術館での作品ガイドはiPadを使ったものでした。


しかも、無料!


貸し出されたiPadを作品に向けると…、



画家名、作家名、作品解説などが画面に表示されます。



さらに、画面上の作品画像の上にある表示をタッチすると、



さらに詳しい解説が表示されます。

画面上に表示された作品画像は拡大表示ができるし、画面も明るいので、展示室にある実際の作品よりも細部がよく見えました。大きな作品だと身長が足りなくて上の方が見えないので、この拡大機能は大変役に立ちました。


ピントが合ってない…。実際は精細な画像です。

自分がいる部屋に展示されている作品の一覧もありますので、いちいちカメラを向けなくても作品解説が読めます。


Frans Snijders, The Fishmonger

港町のアントワープらしい風景。水揚げされた魚や貝、蟹、干物などの奥に、アントワープの建物が見えます。



そして、物陰にはそれらを狙う猫が隠れています。

この時代に描かれる猫はガリガリに痩せて厳しい目つきをで絵描かれることが多いのですが、アントワープは食べ物が豊富なのか、ふっくらとしていて穏やかな顔つきをしています。



スナイデルス以外にも、スナイデルス&ロコックスハウス美術館は豊かな16世紀と17世紀のフランドル美術作品が見られます。


Pieter Brueghel the Younger, Flemish Proverbs, 1595
ぼやんぼやんの画像(汗)

ピーター・ブリューゲル(子)の《フランドルのことわざ》という作品。ことわざがふんだんに描き込まれているので、ひとつひとつ理解するのに、iPadで見る作品解説が大活躍しました。

たとえば、ここ。


キツネとツルが向かい合って座っています。

これはイソップ寓話にも収録されている「キツネとツルのご馳走」だそうです。

意地悪好きのキツネがツルに「ご馳走するからいらっしゃい」と招待し、やって来た鶴にわざと平たい皿に入れたスープを差し出す。鶴はクチバシが長いため飲めない。それを見ながら狐はおいしそうにスープを飲む。

しばらく後、鶴は狐に「先日はご馳走をありがとう、今度は私がご馳走するからいらっしゃい」と言って、訪れた狐に細長い口の壷に入れた肉を差し出す。狐はクチバシがないのでそれを食べられない。それを見ながら鶴はおいしそうにクチバシで中の肉をつまんで食べる。

他人を傷つけた者は、いつか自分も同じように傷つけられる。

たとえ善意からくる行動であっても思慮が足りないと相手に受け入れられず、互いに傷つく。Wikipedia

これは解説がなければ、「なんか、かわいい~」で終わるところでした。

 

Jacob Jordaens, The Appointment of Peter as Chief Shepherd of the Church, c. 1616/1617

修復作業のため、教会から預かっているヨルダーンスの作品。

確かに画面全体が黄色い。


Deluxe Wheel of Fortune

占いに使われた道具だそうです。上の円盤を回して、針がさした場所で占ったそうです。

これは、ルーレットのもとともなったものだそうです。天板のところをよく見ると、サイコロの目のようなものがあります。



スナイデルス&ロコックスハウス美術館は、17世紀初頭のアントワープのブルジョワジーに人気があった建築の典型的な例で、建物の中央には中庭があり、そこでは今もハーブが栽培されています。





Snijders & Rockoxhuis
Keizerstraat 10
2000 Antwerpen




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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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