日本でもっとも知られるルーベンスの絵は、アニメ『フランダースの犬』でネロとパトラッシュが最期に観た《キリスト昇架》と《キリスト降架》だと思います。これらの絵は現在でもアントワープのノートルダム大聖堂にあって、大聖堂の前にはフランダースに言及した石碑(日本語、トヨタ寄贈)もあります。
展覧会はルーベンスと彼に影響を受けた膨大な数の画家たちの作品が約160点並んでいます。ルーベンスの後継者とも呼べる画家たちのなかにはヴァン・ダイク、ヴァトー、ドラクロワ、ゴヤ、マネ、ピカソなどのほかに、クリムトやココシュカなど作品を見るだけではルーベンスの影響が即座にわからない画家などもいてルーベンスの影響の大きさが感じられます。
後継者のなかではルーベンスに心酔していたドラクロワの作品が多かったように思います。トラ狩りなどのエキゾチックな画題、ダイナミックな構図、湿気を帯びた赤と緑の強烈な色彩の対比はよく似ています。
上:ルーベンス、左下:ドラクロワ |
今回初めて知ったのはロココ時代を代表するフラゴナールとヴァトーへの影響です。ふたりともひらひらでふわふわのドレスを身に着けた砂糖菓子のようなあま~い少女性を残した女性を得意としているので、ルーベンスの大人の迫力を感じる女性とどうつながるのかと思っていました。会場でルーベンス、フラゴナール、ヴァトーがそれぞれ描いた横たわる裸婦の作品が一か所に展示されているのを比べてみるとなるほどなと思いました。豊満な身体の表現がよく似ていましたし、説明を読むとルーベンスまでは成熟した女性の豊かな身体は魅力的に描かれていなかったそうです。
この展覧会のテーマは6つに分かれていて、時代も場所も違う膨大な作品がたくさんあるのでどうみたらいいのやら、、、という呆然とした気持ちにもなりました。絵画に表われているルーベンスの影響とそれを自分のものにした画家たちの魅力を図録を読みながらひとつひとつ確認できたらもっと充実した時間になったかもと今はちょっと心残りです。
Youtubeでプラド美術館所蔵のルーベンス《愛の園》の作品の搬入と展示の風景が公開されています。展覧会の裏側を見られるので、とても興味深いです。
Sensation and Sensuality: Rubens and His Legacy
2014.09.25-2015.01.04
Centre for fine Arts
Rue Ravenstein 23
1000 Bruxelles
0 件のコメント:
コメントを投稿