感情の発露としての表現~Emotions: Pain and Pleasure in Dutch Painting of The Golden Age, Frans Hals Museum in Haarlem

2014年11月20日木曜日

ハーレム フランス・ハルス美術館 レンブラント 展覧会

t f B! P L
アムステルダムにほど近いハーレムにあるフランス・ハルス美術館で「オランダ黄金時代の絵画における苦痛と快楽」という展覧会が開かれています。





タイトルからなんとなくエロティックなものを想像していたのですが、実際には感情がどのように表現されているかという極めて真面目な展覧会でした。



美術館HPより

17世紀のオランダ絵画において、感情表現はとても重要だったそうです。画家であり、ハーレムの美術学校の創始に関わったとされるカレル・ファン・マンデルは『画家列伝』(1604)のなかで、作品の魂は感情の確かな描写によるとしましたし、ヴィレム・フーレーは絵画芸術で最も偉大な力は感情表現に宿ると主張しています。

そのほかにも17世紀の書籍や印刷物には、内なる感情を表情やポーズで表現する方法をイラスト入りで詳細に説明しています。最初の部屋にはこの時期の書物も展示されています。

なぜ、16世紀までは感情が描写されなかったかというと、感情のコントロールが重要とされていたからです。なので、16世紀以前の絵画をみると無表情のものが多いんだそうです。それが考え方や文化の変化によって1640年頃から感情が描かれるようになったそうです。


展示室では、苦痛・絶望・愛・欲望・愉楽・歓楽といったテーマが設定されていました。愛する人を亡くした悲しみに沈んで涙する場面や、仲間と愉快に飲食をともにする場面など、いろいろ観ている私の感情を揺さぶる作品がありましたが、最も感情に訴えられたのが苦痛でした。




そこにはレンブラントが17歳の時に描いた作品がありました。15センチ角くらいの小さな画面なのですが、そのなかに医者・患者・アシスタントの三人の男性がぎっちり描かれていました。手術は頭から石を取る手術のようです。患者は顔をしかめ、医師は真剣な顔で患者の右耳の上あたりをほじくり、アシスタントはロウソクの火で患部を照らしつつ、深刻そうな面持ちで覗き込んでいます。それにしても麻酔なしで、あんなことをされたら痛いでしょう。目をぎゅっとつぶって歯を食いしばり、痛みに耐えるため身体全体に力が入っているのが分かります。


となりには、ヤン・ステーンの歯医者が子供の歯をペンチで抜く場面がありました。見守る大人は同情を寄せ、野次馬の子供達は囃し立てています。痛さを知ってるものと知らないものの差が如実に表れてます。




感情表現な豊かな作品をみると、こちらの感情の起伏もなんだか激しくなって疲れてしまいました。美術鑑賞のあとは、美術館のカフェでコーヒーを飲んで心を落ち着かせ、中庭でのんびりしてから次のお目当ての美術館へ行きました。


Emotions: Pain and Pleasure in Dutch Painting of The Golden Age


2014.10.11-2015.02.15

Frans Hals Museum
Groot Heiligland 62
2011 ES Haarlem
http://www.franshalsmuseum.nl/en/
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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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