ムンクとゴッホはふたりとも厳格な父のもとに生まれました。ムンクのほうが10年若いのですが、同時期に画家として歩み始めました。
ムンクは1885年にパリに行き、その翌年1886年にゴッホが訪れます。同時期にパリに滞在し、よく似た絵画経験を積みながらも二人は出会うことはなかったそうです。
二人ともモネの光と色彩表現に傾倒し、ロートレックの人物画にインスピレーションを受け、ピサロの点描技法を経験し、カイユボットの大胆な画面構成を取り入れ、マネのようにモダンな肖像画を描こうとしていました。新しい絵画をスポンジのように吸収し、異なる絵画様式と技法を試行錯誤しながら一枚の作品の中に統合しようと試みました。そして、それぞれの絵画を発見するようになります。
一番興味をそそられたセクションがゴーガンの影響を検証したところでした。ムンクはゴーガンの木版画を研究し、そこから夢や物語、インスピレーションを描くようになり、現実世界を離れてより自由に絵画を描いていきます。一方、ゴッホはゴーガンから色彩表現を学んでいきますが、現実世界に根差しています。ゴッホは「見ている」ものを描き、ムンクは「見た」ものを描きました。
ゴッホとムンクはその絵画の類似点や差異以上に、人間の存在の在り方を研究するという根本的な部分でより深くつながっているように思われます。ゴッホは自画像で自分というもの見つめ、ムンクは《生命のフリーズ》で人の一生を描きました。
この展覧会は二人の代表作を見る以上の価値があるので、おすすめです！！
Munch: Van Gogh
2015.09.25-2016.01.17
Van Gogh Museum
Museumplein 6
1071 DJ Amsterdam
http://www.vangoghmuseum.com/en
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