もう2週間前のことですが、今年も行ってきました、ヨーロッパ最大のアート・フェア、TEFAF。
毎年のことながら、お祭りとして楽しんできました。
ここにはアートに関するものが全て揃っています。
絵画、彫刻、版画、写真をはじめ、考古の遺物、コイン、写本、ジュエリー、陶器、家具、楽器などなど、ルーブル美術館よりもバリエーションが多いんじゃないかと思います。
ここに展示されているものは、全て購入できます。値段を尋ねるのも憚られるほどですけど…。
世界中の美術館関係者や富豪たちが参加していて、会場の雰囲気もリッチでした。
今回のメインはアメリカで昨年発見されたレンブラントの《失神した人(嗅覚)》。アメリカのオランダ黄金時代の作品のコレクションで有名な個人コレクターの所蔵なので、鑑賞できる機会は限られています。
この作品はレンブラントが描いた「五感」を描いたシリーズのうち、失われたと考えられていたものです。
視覚・・・《メガネの行商人》、ラーケンハル美術館蔵、オランダ
聴覚・・・《3人の歌い手》、ライデン・コレクション、アメリカ
触覚・・・《手術》、ライデン・コレクション、アメリカ
嗅覚・・・《失神する人》、ライデン・コレクション、アメリカ←new!
味覚・・・所在不明
五感のうちが四つがようやく揃いました。あとひとつ揃うと、10代のレンブラントが挑戦したシリーズ構成を知ることができます。早く発見される日が来てほしいものです。
今年のTEFAFで目立った画家がヴァン・ドンゲンでした。あらゆるギャラリーにヴァン・ドンゲンの作品が置かれていました。そのなかでもっとも素敵だったのが上の作品。
それから驚いたのがモローが本気を出して、完成させた作品(下絵)。これだけの質を備えた作品がまだ市場に出てくきたことに衝撃を受けました。私のモローのイメージはフランスのモロー美術館で構成されているので、完成させない人だと印象。でもこの作品はばっちり描き込んでいます。
普段、なかなか見られないジャンルを見られるのもTEFAFの良いところ。今回は楽器が素晴らしかった。ハーグにも楽器のコレクションで有名な市立美術館がありますが、保存上の問題のため、それらは数年に一度くらいしか見られないのです。
上の写真の左側に移る特徴的なピアノは「ジラフピアノ」です。キリンのように背が高いことから名前が付けられたようです。19世紀初めにコンパクトなピアノとして考案され、現在のアップライトピアノの原型となったものです。
そのほかにも素敵なチェンバロがありました。
19世紀に作り替えられたチェンバロです。側面は19世紀の蒔絵が施されていますが、屋根の裏には17世紀以前に描かれた絵が残されています。
赤と黒の色の対比がスタイリッシュなチェンバロ。
ジラフピアノの肩に乗るようにバンジョーがあります。近寄ってみると、目が釘づけになりました。
「大日本大阪稲垣製」まさかの日本製を発見!
このTEFAFは美術館ではないので、美術館ではありえない光景が見られます。下のカルダーの作品を見てください。左下に小さなカードがありますね。
近寄ってみると...。
「息を吹きかけないでください。」
やりたくなる気持ちは充分すぎるほど分かります。
過去のTEFAFはこちらをどうぞ。
・TEFAF 2015
・TEFAF 2014
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