19世紀イタリアの画家アントニオ・マンチーニの個展が、オランダのメスダッハ・コレクションで開催されました。
マンチーニは絵の具を惜しげもなく塗り重ねた豊かな画面が特徴です。また、その絵の具にガラスや金属片など光沢のある素材を練りこんだりして
Lost in Thought, c.1889-1890, The Mesdag Collection, The Hague |
髪と襟元のマットな黒色と光沢のあるシルクのスカートの対比が見事な作品です。
写真で見ると気づきにくいのですが、絵の具をボリュームを効果的に使った作品です。
Detail: Lost in Thought, c.1889-1890, The Mesdag Collection, The Hague |
横から見ると机の脚を描いた絵の具が1センチほど盛り上がっています。
画面の下半分は物理的にせり出して荒々しい表面の机の脚と大胆な筆致で描いたスカートで占められ、画面の上半分は落ち着いた筆致で描かれた女性の顔があります。この筆致の対比によって、彼女の物思いに耽る視線がより一層強く感じられます。
The Refreshment, 1889, Dordrechts Museum |
こちらも分厚い絵の具層からなる作品。
Detail: The Refreshment, 1889, Dordrechts Museum |
この作品は近寄ると正確なグリッドの線が見えます。
この線は、マンチーニが写真や下絵からカンヴァスに絵を移す時の目印にした糸の跡です。
糸を張り巡らしたカンヴァスに絵を描いたあと、その糸を絵の具の下から引き抜いているのです。ですので、糸を抜いたところは絵の具が盛り上がったり、または下地が見えてしまったりしています。
Autobiographical Self-Portrait, 1929 |
亡くなる前に描いた自画像で、左側の空いたところには友人ジョン・シンガー・サージェントや、思い出深い場所の名前が記されていて、この絵の中にマンチーニの一生が凝縮されています。
記された名前のなかに、メスダッハ・コレクションの創設者であるヘンドリク・ウィレム・メスダハの名前があります。
メスダッハはハーグ派を牽引し成功を収めた画家で、画廊でマンチーニの作品に一目惚れをしてからマンチーニの作品を油彩50点、素描約100点以上購入しました。
Mancini: Eccentric & Extravagant
2020.06.03-2020.09.20
The Mesdag Collection
Laan van Meerdervoort 7-F
2517 AB Den Haag
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