オランダ人のアート友達に勧められたサクロモンテ博物館
グラナダに旅行に行くことをオランダ人の友人に話したら、「絶対に気に入るよ!」と強く勧められたのが、サクロモンテ博物館(Museo Cuevas del Sacromonte)でした。
彼女の言う通り、この博物館はロマ(ジプシー)の伝統的な暮らしを体感でき、息をのむような絶景が楽しめる隠れた名所でした。フラメンコの発祥地として歴史的に重要な場所なのに、グラナダ市街から離れた山の中腹にあるためか、観光客が少なく、クチコミもあまり見かけません。見逃しそうになったこの場所は、本当に訪れてよかったと思える場所でした。
サクロモンテ博物館とは?
サクロモンテ博物館は、グラナダのサクロモンテ地区にある野外博物館です。この地区は15世紀からロマの人々が洞窟を住居として暮らしてきた歴史的な場所で、実際に使われていた洞窟住居を再現し、ロマの文化や生活様式やフラメンコの歴史を紹介しています。フラメンコの発祥地としても知られるサクロモンテの独特な雰囲気を感じられます。
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小高い山の上に建つアルハンブラ宮殿 |
また、この博物館は山の中腹に広がる白い洞窟群の中にあるため、目の前にはアルハンブラ宮殿とシエラネバダ山脈が望める絶景が広がっているのも魅力です。
ロマの洞窟住居を体感
サクロモンテ博物館のハイライトは、なんといっても忠実に再現された洞窟住居です。
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洞窟住居の入口 |
狭い入口をくぐると、涼しく静かな空間が広がります。岩をくり抜いた部屋には、キッチン、寝室、作業場などが再現され、壁に掛けられた調理器具や手作り家具からロマの暮らしの工夫が伝わります。
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キッチンエリア |
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小さな食卓を囲んで食事をとる。壁にはたくさんの鍋が並んでいる |
特に印象的だったのは、洞窟の構造そのもの。天然の岩をくり抜いた住居は、夏は涼しく冬は暖かいという自然の恩恵を最大限に活かしています。現代の私たちから見るとシンプルすぎる暮らしですが、そこで生きる人々のたくましさと文化の深さに心を動かされました。
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山肌に露出した岩をくりぬいて住居空間を作っている |
住居以外にも、陶芸工房、織物部屋、鍛冶屋、動物の世話をするスペースなど、さまざまな役割をもった洞窟が並びます。カラフルな毛糸や手織りの籠など、ロマの職人技も見どころです。
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この小さな部屋の真ん中で踊る。周りの椅子に座る人々は手拍子・足拍子をして盛り上げる。 |
アルハンブラ宮殿を望む絶景
博物館の敷地から見える景色は、ここを訪れる価値をさらに高めてくれます。丘の上から眺めるアルハンブラ宮殿は、太陽の光や流れる雲の影によって表情を変えます。
遠くにそびえるシエラネバダの山々とのコントラストも美しく、しばらくベンチに座ってぼーっと景色を眺めているだけで心が癒やされました。今回の旅行で一番ゆっくりできた時間かもしれません。
ここでは、写真を撮るのもいいですが、じっくりとその場にいる時間を味わってほしいです。
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アルハンブラ宮殿(左)とグラナダの市街地(奥) 手前には現在も使われている洞窟住居が見える |
サクロモンテ博物館への行き方
サクロモンテ地区はグラナダ市中心部から少し離れています。バス(C34番)やタクシーでのアクセスが便利ですが、歩く場合は坂道や階段が多いので歩きやすい靴と体力が必要です。
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バス停からは、この急な石畳の道を矢印の方向に上っていく |
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この坂を見て博物館へ行くのを断念する人も |
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博物館へ続く坂道で出会った猫。人馴れしていて逃げない
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歴史と癒やしのひとときを
サクロモンテ博物館は、グラナダの多様な文化を体感できる特別な場所です。ロマの暮らしやフラメンコの魂に触れ、アルハンブラ宮殿を望む絶景に癒やされる――そんな贅沢な時間がここにはあります。グラナダを訪れたら、壮麗なアルハンブラ宮殿だけでなく、街のもう一つの魅力であるフラメンコを深く知ることができるサクロモンテ地区の洞窟文化にも目を向けてみてください。
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