The Lute Player, c. 1623, Musee du Louvre, Paris |
人物だからけの展示室内で息がつまらなかったのは、ハルスが描く人物が表情豊かなおかげです。
上の作品は展示室で最初に迎えてくれた作品で、「よく来たね!元気かい?」と話しかけてきそうな親しみのこもった表情をしています。
Detail: The Rommelpot Player, c. 1620, Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas |
The Rommelpot Player, c. 1620, Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas |
笑っている顔って一瞬で変化するからその瞬間をとらえるのが難しいし、この時代はほとんど描かれていないんですが、この作品の中だけでもさまざまな笑いの表情が見られます。
Laughing Boy with a Wine Glass, Laughing Boy with a Flute, c. 1630, Staatliche Schlosser, Garten und Kunstsammlungen, Mecklenburg-Vorpommern, Schwerin |
なにかのコマーシャルに使われそうな爽やかな二人。
マウリッツハイス美術館の人気の作品。あどけない表情が上手に捉えられています。
Portrait of a Married Couple, Likely Isaac Abrahamsz Massa and Beatrix van der Laen, c. 1622, Rijksmuseum, Amsterdam |
Malle Babbe, c. 1640, Staatiche Museen zu Berlin, Gemaldegalerie |
それまであまり描かれる対象でなかった精神に障害を負っている人や、
Young Woman, ('La Bohemienne'), c. 1632, Musee du Louvre, Paris |
社会的に虐げられている人たちも、スケッチのような素早く大きな筆致で描き留めています。
Detail: Portrait of isaac Abrahamsz Massa, 1622 |
ハルスは筆さばきが天才的です。大胆な筆触で最大限の効果を発揮しています。
Portrait van Isaac Abrahamsz Massa, 1622 |
巧みにに人物の瞬間的表情を捉えるのはもちろん、柔らかな布やレースの表情が見事。
当時、この筆さばきは「ハルスという達人だからできるのであって、一般の画家がすると大事故になるから真似すんなよ」(意訳)と言われていたらしいです。
こういう表現を見ると、印象派のマネがハルスを尊敬していたことに納得できます。
今回の展覧会では彼の豊かで自由闊達な素描的筆遣いに焦点が当てられてたので、厳格な作品の数は少なかったけれど、もう一方のハルスの凄さも十分に感じられる展覧会でした。
Frans Hals
2024.02.16-2024.06.09
アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum
museumstraat 1
The Netherlands
1071 XX Amsterdam
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