フランス・ハルス展~Frans Hals @ Rijksmuseum in Amsterdam

2024年3月11日月曜日

アムステルダム アムステルダム国立美術館 展覧会

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アムステルダム国立美術館のフランス・ハルス展に行ってきました。

フランス・ハルスは、ベルギーのアントワープ生まれですが、幼いころに家族でオランダのハーレムに移り住んでいます。そこで画家としての修行を始め、17世紀オランダを代表する画家となって活躍しました。


The Lute Player, c. 1623, Musee du Louvre, Paris

フランス・ハルスは人物画を得意としていて、子どもから老人まで、また貴族から庶民、身体や精神に障害を負っている人までさまざまな人々を描いています。


The Merry Drinker, c. 1629

今回の展覧会に展示されている作品もほぼ100%人物画です。

人物だからけの展示室内で息がつまらなかったのは、ハルスが描く人物が表情豊かなおかげです。

上の作品は展示室で最初に迎えてくれた作品で、「よく来たね!元気かい?」と話しかけてきそうな親しみのこもった表情をしています。


Detail: The Rommelpot Player, c. 1620, Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas

これほど見事なテヘペロは他の作品では見たことがありません。


The Rommelpot Player, c. 1620, Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas

笑っている顔って一瞬で変化するからその瞬間をとらえるのが難しいし、この時代はほとんど描かれていないんですが、この作品の中だけでもさまざまな笑いの表情が見られます。


Laughing Boy with a Wine Glass, Laughing Boy with a Flute, c. 1630, Staatliche Schlosser, Garten und Kunstsammlungen, Mecklenburg-Vorpommern, Schwerin

なにかのコマーシャルに使われそうな爽やかな二人。



マウリッツハイス美術館の人気の作品。あどけない表情が上手に捉えられています。


Portrait of a Married Couple, Likely Isaac Abrahamsz Massa and Beatrix van der Laen, c. 1622, Rijksmuseum, Amsterdam

にこやかなカップルの肖像画。当時ではとても珍しく同じ画面に収まっています。男性の方に女性が手を置いたりしてとてもリラックスした雰囲気です。

これまで描かれた人物たちは朗らかで、みんな人生愉しんでいそうです。


Malle Babbe, c. 1640, Staatiche Museen zu Berlin, Gemaldegalerie

それまであまり描かれる対象でなかった精神に障害を負っている人や、


Young Woman, ('La Bohemienne'), c. 1632, Musee du Louvre, Paris

社会的に虐げられている人たちも、スケッチのような素早く大きな筆致で描き留めています。


Detail: Portrait of isaac Abrahamsz Massa, 1622

ハルスは筆さばきが天才的です。大胆な筆触で最大限の効果を発揮しています。


Portrait van Isaac Abrahamsz Massa, 1622

巧みにに人物の瞬間的表情を捉えるのはもちろん、柔らかな布やレースの表情が見事。

当時、この筆さばきは「ハルスという達人だからできるのであって、一般の画家がすると大事故になるから真似すんなよ」(意訳)と言われていたらしいです。



この袖の表現は19世紀フランスの印象派のようですよね。

こういう表現を見ると、印象派のマネがハルスを尊敬していたことに納得できます。



ハルスがすごいは、こうしたルーズな筆触とかっちりとした筆触との使い分けができるところです。

今回の展覧会では彼の豊かで自由闊達な素描的筆遣いに焦点が当てられてたので、厳格な作品の数は少なかったけれど、もう一方のハルスの凄さも十分に感じられる展覧会でした。


Detail: The Laughing Cavalier, 1624, The Wallace Collection, London

袖の模様の細部まで描かれています。


The Laughing Cavalier, 1624, The Wallace Collection, London

袖の刺繍やレースの模様まで細かく描かれています。


Portrait of Catharina Hooft with her Nurse, 1619-1620, Staatliche Museen zu Berlin, Gemaldegalerie





Frans Hals
2024.02.16-2024.06.09



アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum
museumstraat 1
The Netherlands
1071 XX Amsterdam







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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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