夜の幻想旅へ~Hans Op de Beeck: Nocturnal Journey at KMSKA in Antwerpen

2025年4月30日水曜日

KMSKA アントワープ 展覧会

t f B! P L
KMSKA(アントワープ王立美術館)にて、視覚芸術家ハンス・オプ・デ・ベークは、一つの広大で没入型の体験をもたらす展覧会「ノクターナル・ジャーニー」を創り上げました。神秘的で謎めいた空間を舞台にした、夜の静寂を感じさせる幻想的な旅です。


Tatiana (Soap Bubble), 2017, Blossom Tree (7), 2019


Roer Deer, 2018


The Boatman, 2020

彼の作品は、日本の寺院の庭園、石庭を思わせる不思議な空間に展開されます。

すべての作品がグレー、ブラック、ホワイトを基調としており、作品は時間の中に静止し、まるで化石化したかのような雰囲気を醸し出しています。



Vanitas XL, 2021


最初のほうは日本やアジアにインスピレーションを受けた作品が多く、「ま~た、西洋人が幻想抱くZENの展示か……」と思っていましたが、次第に時間と空間を超えた旅へと誘われ、瞑想的でありながら、夜の闇に感じる潜在的な恐怖や闇から立ち顕れる狂気へと誘われます。


Zhai-Liza (Angel), 2024


Paradigm (Orrery) 1, 2025


メランコリー (Melancholy)


Dance Macabre, 2021


メリーゴーランドに乗る骸骨の紳士。


着飾った骸骨の女性。


My bed a raft, the room the sea, and then I laughed some gloom in me, 2019

展覧会終盤に展示された眠る少女。

彼女のベッドは睡蓮と蒲(ガマ)が生える池に浮かんだ筏の上にあります。




読みかけの本をおなかの上に置き眠っています。

彼女のベッドのわきにあるサイドテーブルには、本とグラスと睡眠薬があります。彼女の頭の上には魂を象徴する蝶々が止まり、いまから飛び立とうとしている所です。




この作品の温かみまで表現されるテキスタイルが迫真的でした。


座ったとき、あまりに冷たくてお尻がびっくりしました。

会場内にオプ・ドゥ・ベークが制作した鑑賞者が座ってもいいソファがいくつか配置されています。革張りのソファにのような見た目に反して、石膏で制作されたものなので硬くてひんやりとしていました。


Miriam, 2024


Miriam, 2024, Mountainscape, 2024

会場デザインと照明デザインが驚くほどバッチリ決まっていてテーマパークかと思うほどでした。

最後の部屋では、オプ・デ・ベークのアートフィルム《Staging Silence (3)》(2019)の上映が行われていました。こちらは箱庭的な場所で、二本の手がミニチュアの建造物や小道具を配置して、次々となめらかに場面が変化していきます。「ノクターナル・ジャーニー」の世界観をより深く味わうことができる構成となっています。



アントワープ王立美術館
KMSKA (Koninklijk Museum voor Schone Kunsten Antwerpen)
Leopold de Waelplaats 1, 2000 Antwerpen





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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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