ほどよい疲れを感じた頃、運河沿いの小さなカフェ「Orloff」の存在を思い出しました。ここは、彼が60年もの間、愛し続けた場所だそうです。
その日は天気が良く、テラス席はすっかり埋まっていました。日差しに少し疲れた私は、店内へと足を踏み入れました。


柔らかな自然光が、年を経た木のテーブルを優しく照らしています。大きな窓を介してテラス席のにぎやかな声が心地よく聞こえてきます。年月を経たインテリアは品が良く、落ち着いた空間でした。空気そのものが、ゆっくりと呼吸しているように感じられました。
店員さんに軽く挨拶をし、入り口近くの空いているテーブルに腰を下ろしました。
注文したのは、シンプルなアイスラテ。冷たいグラスを手に取り、一口含むと、身体の奥に溜まっていた熱が落ち着いていきました。
ふと隣のテーブルに目を移すと、小さな真鍮のプレートがありました。

「I.M. Dick Bruna」
そこは、ディック・ブルーナが愛した席だったのです。
シンプルで温かな彼の作品のように、この場所もまた、日常のおだやかな美しさをそっと包み込んでいます。余計なものを削ぎ落とした先に、かえって豊かに感じられる日常の美しさ。このカフェもまた、同じ精神でここに在るように思えました。
ブルーナはここで、どんな風にすごしていたのだろう。
私はそっと写真を撮りました。ごく普通のカフェのテーブルと、小さなプレート。
それでも、私にとっては宝物のような一枚になりました。

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