マウリッツハイス美術館で、専門的な展覧会が開かれています。「レンブラント?《サウルとダビデ》の場合」です。
レンブラント《サウルとダビデ》 |
マウリッツハイス美術館はレンブラントの作品なのか疑問を呈されていた《サウルとダビデ》を8年にわたる調査が行い、最終的にレンブラント作品だと結論付けました。その過程をまとめた映像を、展示室に設置された4つのディスプレイで発表しています。
私はこの展覧会を見て、作品を「見る」ということに関して大きな恐れを抱きました。
《サウルとダビデ》の修復過程で、オーバーペインティングを除去した後の作品の姿があまりにも衝撃的だったのです。
1枚のカンヴァスだと思っていたものが、実は15の断片を組み合わせたもので、しかもオリジナルのカンヴァスは「左のサウル」と「右下のダビデ」を描いた部分だけだったことが明らかになったのです。
下のyoutubeを見てみてください。私の衝撃を分かってもらえると思います。
もちろん、19世紀以前の作品は修復されていなければ、状態がよいまま残っていないということは知っていますし、理解しています。しかし、ここまで欠損しているとは…!
これだけ欠損があることが判明したあとに、例えば、《サウルとダビデ》の右上の空間について「レンブラントによる深みのある表現で素晴らしい」と評した場合、それが全く的外れとなってしまいます。
修復調査が発達し、今まで見えなかった部分が見えてきたことで、これから作品の見方・鑑賞方法が変わってくるかもしれません。
Mauritshuis MuseumPlein 292511 CS Den Haag
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