Chris Beekman, Composition, 1920 |
デン・ハーグ市立美術館のデ・ステイルの特集展示でも数点しか展示されていないので、この展覧会で初めてこの画家の全貌を知ることができました。
ベークマンの作品は、デ・ステイルの展示のなかにあっても、あまりデ・ステイルっぽさを感じさせないのですが、今回の展覧会を見たことでそのわけが分かりました。
20代の頃の作品を見ると、モティーフや描き方がゴッホの初期作品に似ていました。
Chris Beekman, Willow Trunk, 1908 |
しっかりとした筆圧でハッチングをするように樹皮を描くことで、樹木の力強さが表現されています。
Chris Beekman, Silence of the Heath |
こちらの風景画はまさにゴッホ。
Chris Beekman, Horse near the Seine, 1913 |
デ・スタイルは作品の構成要素を水平線と垂直線、赤・黄・青の三原色に白と黒を加えた色彩に限りましたが、ベークマンは、デ・ステイルの抽象は行き過ぎていると考え、バート・ファン・レックとともにもう少し緩やかな抽象を目指していました。
Bart van der Leck, The Drinker, 1919/1952 |
戦争が始まると、左翼的な思想を持っていた彼は、それまでも描いていた労働者や街に生きる人々を政治的に描くようになります。
Chris Beekman, The Dogcart, 1916 |
この傾向が強くなってきたときに、デ・スタイルの共同設立者ファン・ドゥーズベルグがベークマンをデ・ステイルのメンバーから外しました。
Chris Beekman, Untitled, 1919-1920 |
それでもベークマンは題名をデ・スタイルのメンバーがよく用いた「コンポジション」としたり、モノトーンの作品を制作することもありました。
しかしながら、コミュニズムに魅了されていった彼は抽象画よりも労働者たちを描くことに関心が移っていきました。
Chris Beekman, Unemployed at a Railway Crossing, 1933-1934 |
このように緩やかな抽象画を目指したこと、それから政治的な関心事を作品で表現していったことで、ベークマンはモンドリアンに代表されるデ・スタイルとは一線を画す画家となったのでした。
Chris Beekman, de afvallige van De Stijl
2017.04.08-2017.09.17
Stedelijk Museum
Museumplein 10,
1071 DJ, Amsterdam
http://www.stedelijk.nl/en
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