不安を掻き立てられて、一度見たら忘れられないリー・ボンテクーの個展が、デン・ハーグ市立美術館で開催中です。
リー・ボンテクーと聞いて、私が思い出すのは下のような作品。
Untitled, 1960 |
布を張り合わせてワイヤーで固定した立体作品で、中央に穴が開いてます。光が一切差し込まない穴。穴を覗き込んでも何も見えず、闇が広がるのみです。この底知れぬ闇が不安を煽ります。
Untitled, 1960 |
作品の形状から私は火山を連想しました。今は静かだけれどもいつか噴火する生きている火山です。
しかしスケッチブックを見ると、この作品の発想源は「目」だったようです。
Untitled(Quadrille Notebook), 1979-1981 |
じっとこちらを見据える、光のない瞳。
目以外にも、さまざまな発想の源が明らかにされているスケッチ群。一枚一枚がとても興味深く、時間をかけてじっくり見てしまいました。
少しぎょっとするような作品も並んでいます。こちらは目玉と口が描かれています。どうやら、体の内側と外側をつなぐ穴に関心があったようです。
目の周辺の筋肉を繊細に描写した作品。
機械の鳥、なのかな?のこぎりのような歯がついています。
Untitled, 1996 |
こちらは天井からつりさげられた彫刻。宇宙のコロニーや人工衛星のようでもあり、でもどこか生物のような伸びやかさを感じます。
針金で形作り、メッシュやシルクを張り、海水で長年さらされた風合いの磁器の球がいくつもついています。海岸で拾った動物の骨のような形状のものもあります。触れたら壊れてしまいそうな脆さを感じます。
Untitled, 1957 |
スケッチを見ると、火の鳥を思わせる堂々とした鳥の姿を描かれていました。
身体の内部と外部を繋いでいるのが目なら、彼女の考えでは我々の世界と外の世界をつないでいるのが鳥ということなのでしょうか。
Lee Bontecou
2017.02.25-2017.07.02
Gemeentemuseum, Den Haag
Stadhouderslaan 41
2517HV, Den Haag
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