古楽器はとても繊細であるため、見られる機会はそれほど多くはありません。
アムステルダム国立美術館とデン・ハーグ市立美術館は古楽器のコレクションで有名なのですが、それらをまとまって見られるのは5年に一度ぐらいの頻度に限られています。
この稀な機会がもう少しで終わろうとしています。
アムステルダム国立美術館では、6月25日まで、自館のコレクションとハーグ市立美術館のコレクションを集めて、「室内楽(Huismuziek)」と題した展覧会を開催しています。
展示室を訪れると、心地よい音楽が流れているのに気づきます。
聞こえてくる古楽器の調べは、アムステルダム音楽院とハーグ王立音楽院で古楽器を専攻する学生によって演奏されたものです。
以前、ハーグ王立音楽院で開催された古楽器の室内楽コンサートに行ったことがあるのですが、素朴で温かみのある音楽でとても好きになりました。
室内楽は家族や気心の知れた友人たちの間でなされたものです。語らうようにリュートやギターのような小さな楽器を爪弾き、繊細な音の重なりを楽しんでいました。
教会のパイプオルガンやコンサート会場、劇場とのような大衆を対象とした音楽ではなく、自分たちの愉しみのために奏でるものでした。
小型なものが多い室内楽の楽器の中で、ハープやチェンバロのような大型の楽器は美しいフォルムと凝った意匠によってインテリアのフォーカルポイントとなっていました。
木目がとても美しいです。
上の写真は、人物を配した美しい風景画が描かれたクラヴィコードです。ピアノのように脚がなく、箱型の楽器で机や台の上に置いて演奏します。
鍵盤の奥に小さな金属片を取り付けたレバーが見えます。これで弦を叩いて音を出します。
クラヴィコードの奥に見える、ピアノのような楽器はヴァージナルです。フェルメールの作品にもよく登場しますね。
クラヴィコードと違い、長方形の箱のおよそ半分ほどしか鍵盤がありません。
これまであまり楽器に興味がなく、クラヴィコードやヴァージナル、ハープシコードなど曖昧に覚えていたので、これを機会に楽器の本でも買って、それぞれの歴史や楽器の特徴について知りたくなりました。
Huismuziek
2016.01.15-2017.06.16
アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum
museumstraat 1
The Netherlands
1071 XX Amsterdam
https://www.rijksmuseum.nl/en
0 件のコメント:
コメントを投稿