死を想い、生に想いを馳せる~Memento MoriーDamien Hirst, Gemeentemuseum in Den Haag

2014年10月23日木曜日

デン・ハーグ デン・ハーグ市立美術館 展覧会

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思索にふけるにはいい季節になりました。デン・ハーグ市立美術館で開催中の「メメント・モリ(死を想え)」という展覧会が開催されている小さな一室で「死とはなにか」ということを考えてみるのもいいかもしれません。




昨年、デン・ハーグ市立美術館でレンブラントの《テュルプ博士の解剖学講義》に代表される17世紀の解剖学の講義の様子を描いた作品を集めた展覧会がありました。この展覧会は17世紀と現代という二部構成になっていました。

聖書の知識から抜け出して神が作り出したもうた精緻な人体の神秘を知ろうとしていた17世紀と、身体の構造の探求を終え、さらに身体に宿る精神のあり方を模索し始めた現代という、新しいステージを目指した二つの時代が対比されていてとても刺激的な展覧会でした。この展覧会の現代の部にたくさん出品されていたのが、ダミアン・ハーストです。




彼の作品は生と死が色濃くテーマに反映していますが、今回はそのなかでダイアモンドをちりばめた頭蓋骨を写した《神の愛のために》を含む13点の写真が展示されていました。人間の死の直前の表情をつなぎとめた頭蓋骨と蛹から羽化して蝶になることから復活のシンボルとしても捉えられる蝶が反復するように並べられています。

頭蓋骨は色がなく乾ききり、一方蝶は鮮やかであでやかです。近寄って観察すると、羽の模様のパターンや鱗粉のもやっとした感じまで見えます。死と再生が無限のパターンで迫ってきます。



《神の愛のために》の裏には、同じく死をテーマとしていたロドルフ・ブレスダンとオディロン・ルドンの版画作品もあります。(ブレスダン8点、ルドン8点)彼らは19世紀に版画で死や精神世界を表現しています。ダミアン・ハーストとの表現方法の違いをみることで、現代の死や精神世界というものが見えてくるかもしれません。


Memento Mori - Damien Hirst
-2014.11.30

Gemeentemuseum, Den Haag
Stadhouderslaan 41
2517HV, Den Haag
http://www.gemeentemuseum.nl/en


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