ハーレムにあるテイラー博物館は私のお気に入りの美術館です。1778年に設立された、オランダでも最も古い博物館です。
開けるのをためらってしまうような重厚なドアの向こうに、18世紀の歴史・科学・芸術が充溢しています。
まずは化石を展示している部屋です。
ずらっと並ぶキャビネットの中に貴重な化石が並んでいます。その横に置かれたキャプションは手書きされており、それを見るとひとつひとつ丁寧に調査を行ってきた時間を感じます。ここには公式には認めてはいられませんが、最初に見つかったといわれる始祖鳥の化石がありますので、見逃さないでくださいね。
次の部屋は化学、電気、磁気、光学、力学の分野のさまざまな実験道具が並んでいます。おなじみの顕微鏡や秤などの他にも、なにに使うんだというような複雑な構造の道具がたくさんあってとても興味深いです。
私が一番好きな部屋は鉱物を並べた部屋です。楕円形の部屋の一階の中央のガラスケースと壁際に立つキャビネットにびっしりと煌めく鉱物が並んでいます。壁に埋め込まれたキャビネットには、先ほどの部屋と同様に実験道具がならんでいます。2階にはずらっと分厚い本が並んでいます。
鉱物が美しくて目が離せないのはもちろん、これらの調査研究のために読んだり、もしかしたらこれらの調査の結果を著したであろう書籍が整然と並んでいる様子が、これまでの培ってきた知が地層のように折り重なっているように感じられてとても好きな部屋です。
この部屋以降は絵画の部屋です。18~19世紀のアムステルダムやデン・ハーグで活躍していた画家たちの作品が2段掛け、3段掛けで飾られています。テイラー博物館は版画のコレクションでも知られています。その貴重な版画をファクシミリ版(複写)を実際に手で触って繰ることができます。
版画を見るための場所が中央の緑の机です。そこに棚から出してきた版画を置いてじっくり見ることができます。版画というのは壁に掛けるものではなく、本来は一人だけで見るとてもプライベートなものです。それが味わえる贅沢な博物館です。
決して派手ではありませんが、知識の積み重なりが質量をもって感じられる博物館なので、国立美術館やゴッホ美術館等の主要美術館を一通り巡った方は是非、訪れてほしい場所です。
外に出るとオランダらしい景色が広がっていて、疲れた頭と目を癒してくれます。
Teylers Museum
Spaarne 16
2011 CH Haarlem
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