はじめて食べ物が芸術になったとき~Slow Food @ Mauritshuis Museum in Den Haag

2017年4月26日水曜日

デン・ハーグ マウリッツハイス美術館 展覧会

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マウリッツハイス美術館で食べ物を題材にした静物画を集めた珍しい展覧会が開かれています。

*会場が撮影禁止だったので、HPの画像を表示しています。

MauritshuisのHPより


静物画の中でも食べ物に焦点を絞って描いたものは1600年頃から描かれるようになりました。それまでは「最期の晩餐」のように情景として描かれていました。それが17世紀になって一つの独立したジャンルとして成立しました。

テーブルの上に並べられたチーズや果物、ワイン、また美しいグラスや珍しい中国陶器、銀製のカトラリーが描かれています。

この展覧会では1600〜1640年までの食べ物を扱った静物画の発展の歴史を辿っていきます。

中心となった土地はベルギーのアントワープで、パイオニアの一人には女性画家クラーラ・ペータースが挙げられます。おそらくオランダ・ベルギーで初めての女性静物画家である彼女ですが、彼女に関する情報はほとんど残っていません。

マウリッツハイス美術館では2012年に彼女の作品を購入して以降、食べ物を題材にした静物画の展覧会の企画を温めていました。

この展覧会に訪れたら、必ず無料のパンフレット(英・蘭)を手にして展示室に入ってください。パンフレットのには作品に描かれているものが、料理レシピの材料のように書かれています。

アントワープで生まれた食べ物を扱った静物画ですが、オランダにはアントワープと強い繋がりを持っていたハーレムを通して入ってきました。ニコラース・ギリスとフロリス・ファン・ダイクは、アントワープ様式の静物画を描きました。暗い背景に視点が高く取られた構図です。二人とも重ねたチーズなどといった共通したモティーフを描き、これらはハーレムの食物静物画の特徴となりました。

MauritshuisのHPより

チーズは当時もオランダの特産品で家庭の食卓はもちろんのこと、外国に輸出され、オランダに豊かな富をもたらしました。その富は国民に波及し、他国では王侯貴族しか購入してできない美術作品を市民たちが購入できるほどでした。チーズはオランダ国民の成功を反映しています。

これら積み重なったチーズは若いチーズの上に熟成の進んだ古いチーズがのっています。のちにこの重なったチーズは時間の経過を表すヴァニタスのモティーフとして、描かれるようになりました。




Slow Food
2017.03.09-06.25

Mauritshuis Museum
Plein 29
2511 CS Den Haaf
https://www.mauritshuis.nl/en/
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ミイル。ブログ Miruu 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。 Twitter: ミイル@miirublog

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