調査されたのは下の作品です。この美しい石がふんだんに使用された額は、おそらく17世紀のバロック期に個人礼拝堂で使用するための携帯することのできる祭壇として設計されたものです。
Frame (originally a portable altar?) Rome, first half of the 17th century, ebony with pietre dure decoration, The Courtauld Gallery, London |
石の種類を確定させるのはとても困難だったようです。というのも、通常、岩石や鉱石を調査する際は、石を薄く削いだものを顕微鏡で観察するのですが、このような行為は美術作品を破壊することに他ならないからです。
そのためXRF(蛍光X線)のような非破壊検査を行ったのですが、岩石や鉱石の結晶構造や化学組成は同じことが多く、正確な特定に至ることができなったのです。例えば、ガラス、石英、アメジスト、メノウはすべてシリカ(SiO2)でできているため、この情報だけでは石の種類を特定できません。
そのため、このような化学調査とともに、オックスフォード大学自然史博物館が所蔵している1000もの石のコレクションと比較することでそれぞれの石が特定されるに至りました。
この額に使用されていた石は、驚いたことにたったの四種類でした。
神秘的な青色のラピスラズリ。
高貴な紫色のアメジスト。
縞模様の美しいメノウ。成分によって色や模様が変化します。
ジャスパー、日本名だと碧玉だそうです。メノウと同じ種類ですが、不純物を多く含んでいるために不透明で、その不純物ん違いによって色も変化します。
The Courtauld Gallery
Somerset House
Strand
London WC2R 0RN
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