フェルメールの陰に隠れてしまう画家ですが、彼の作品をみると室内や中庭を描くのが同時代のデルフトの画家たちにとってのトレンドだったことが分かります。
上の作品はフェルメールが描く構図とよく似ています。
左側に窓があって、奥の壁には絵画が飾られている。窓辺の机の回りではカード遊びに興じている男性が描かれています。
Pieter de Hooch, A woman Weighing Gold and Silver Coins, ca.1664, Staatliche Museen zu Berlin, Gemaldegalerie. Property of the Kaiser Friedrich Museumsverein
|
こちらもフェルメールの作品-《天秤をもつ女》-と同じ構図です。
デ・ホーホの作品を見ると、フェルメールも当時デルフトでよく用いられていた構図で描いたんだということがわかります。
では、デ・ホーホの作品の特徴は何かというと、巧みな遠近法だと思う。
きっちりとした遠近法を用いて正確に描かれすぎていて、たまに建築家が描いた図面やジオラマの中のような印象を受けます。
上の作品でも、本来なら、でこぼこしているはずのレンガが敷かれた地面が狂いなくきれいに平坦になっています。
それから、建築図面をイメージさせるもうひとつの特徴が定規で引いたような縦線。
戸口の奥にある柵が几帳面に描かれています。
Pieter de Hooch, Woman with a Basket of Beans in a Kitchen Garden, c.1660, Kunstmuseum Basel, Max Geldner Bequest, Basel, 1958 |
上の作品も後ろの家との境に柵があるのですが、
Detail: Pieter de Hooch, Woman with a Basket of Beans in a Kitchen Garden, c.1660, Kunstmuseum Basel, Max Geldner Bequest, Basel, 1958 |
この、細かさ!なんと几帳面で、きっちりした人なんでしょう。
それから洗濯籠の線。
デ・ホーホの作品を見ているあいだじゅう、縦線が気になりすぎてそこにばっかり注目していたので、縦線の描き方を見ただけでデ・ホーホの作品だとわかるようになった気がします。
デ・ホーホは日常生活を切り取った作品が多いので、子どもが登場する機会も多いです。
そのなかでもオシャレなのがこの子。
Detail: Pieter de Hooch, A woman with a Child in a Pantry, c.1656-1660, On loan from the Rijksmuseum |
関連記事
贋作者メーヘレンのボロボロの作品。これはフェルメールではない。
Pieter de Hooch in Delft
2019.10.11-2020.02.16
Museum Prinsenhof Delft
Sint Agathaplein 1
2611 HR Delft
0 件のコメント:
コメントを投稿