琥珀色の時間を脱ぎ捨てて:2026年、レンブラント《夜警》修復の現場から~Operation Night Watch in Rijksmuseum Amsterdam

2026年4月27日月曜日

アムステルダム アムステルダム国立美術館 レンブラント 修復

t f B! P L
アムステルダム国立美術館の「名誉の間」の最奥には、17世紀オランダ絵画の傑作、レンブラントが描いた《夜警》(1642年)があります。

この《夜警》は今、長い時を経て積み重なってきた琥珀色のワニスを丁寧に除去されながら、本来の姿を取り戻そうとしています。


2026年4月
2019年から始まった「オペレーション・ナイトウォッチ」は、世界的に見ても大規模な修復・研究プロジェクトです。2026年4月現在、古いワニスの除去作業の真っ只中にあります。

長年にわたり黄ばみ、琥珀色に変色したこの薄い膜は、まるで作品全体にかけられたフィルターのように、光と色の微妙なニュアンスを覆い隠してきました。修復士たちは今、そのフィルターを、慎重に拭い去っています。


ワニスを除去して、下の絵の具が露になったところ(左)

ワニスが除去された箇所では、表面が一時的にくすんだように見えるかもしれません。しかし、そこに現れるのは、かつて私たちが「レンブラントらしい」と信じてきた重厚で温かな闇とは異なる、もう一つの真実です。金属の冷たい輝きを宿した鎧の質感、複雑な影のグラデーションや繊細な光の階調など、変色したワニスに隠されていた、画家自身の筆致の生々しい息づかいが露になっています。

科学の先端技術と人間の「眼と手」

この修復が「史上最大」と称される理由は、徹底した科学的探求にあります。AIは18世紀に切り落とされた四辺の欠損部分を、レンブラントの筆致や構図の論理に基づいて精緻にシミュレートし、巨大な高解像度スキャナーは絵具層の下に潜む下描きの線や、画家が何度も迷いながら重ねた筆の跡を、克明に暴き出しました。


AIを使って欠損部分を補った《夜警》(2021年)

それでも、こうした先端技術のすべては、結局のところ、人間の「眼」と「手」を支える道具に過ぎません。ガラス張りの修復ラボで、ミリ単位の作業に没頭する修復士たちの背中には、レンブラントの作品に対する静かな畏敬の念が満ちています。




修復の過程を共に見守る


このプロジェクトは、すべてが「公開」されています。展示室の一部を修復の場に変え、訪れる人々が、作品が少しずつ再生されていく過程を、間近で共有できるようになっています。レンブラントの時代から続くキャンバスは、観る者の視線の中で、再び息を吹き返そうとしています。

修復の完了は2027年頃と見込まれています。黄ばんだベールを脱ぎ捨てた《夜警》が、再び鮮やかな光と影のドラマを、私たちの前に広げてくれる日を静かに待ちたいと思います。


2025年3月


Translate

自分の写真
ミイル。ブログ Miiru 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。Twitter: ミイル@miirublog

このブログを検索

最新記事

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ

QooQ