ミッフィーの故郷を巡る——ディック・ブルーナの眼差しが息づく街、ユトレヒト~Miffy's Hometown: Discovering Utrecht

2026年5月25日月曜日

カフェ ミッフィー ユトレヒト

t f B! P L

ミッフィー、オランダ語で「ナインチェ(nijntje)」と呼ばれるこの小さなうさぎは、1955年にオランダのユトレヒト生まれのイラストレーター、ディック・ブルーナ(Dick Bruna, 1927-2017)によって生み出されました。




ブルーナの筆致は、極めて簡潔でありながら、驚くほど豊かな情感を宿しています。原色を基調としたミニマリズムの美学は、子どもたちの純粋な視線に寄り添う深い優しさと、洗練された知的さを兼ね備えています。ユトレヒトの街を歩くと、今もなお、街角のいたるところに彼の穏やかなまなざしが息づいているのを感じます。

この散歩では、ブルーナの創造世界をたどりながら、ファン心をくすぐる「ついでに寄れる場所」や、彼の日常に深く根ざしたスポットも織り交ぜてご紹介します。


目次

ディック・ブルーナの創作の源泉:ユトレヒト中央博物館(Centraal Museum)
        ついでに立ち寄りたい:ミュージアムカフェと庭のミッフィー像
ミッフィーの世界を体験する:ミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)
        ついでに立ち寄りたい:ミュージアム内のギフトショップとミッフィーカフェ
マリア広場(Mariaplaats)のミッフィー&ブルーナ像
        ついでに立ち寄りたい:Banketbakkerij Theo Blom(Zadelstraat)
ミッフィーの信号機(Miffy traffic light)
ミッフィー広場(Nijntje Pleintje / Miffy Square)

        ついでに立ち寄りたい:旧スタジオのミッフィーモザイク
さらに深く:ブルーナの日常とその他のゆかりの場所




ディック・ブルーナの創作の源泉:ユトレヒト中央博物館(Centraal Museum)


Agnietenstraatに佇むユトレヒト中央博物館は、ブルーナの創作の源泉に触れられる最も大切な場所です。ここには彼の旧スタジオが、ほぼそのままの姿で移設・再現されています。

質素な机、椅子、自転車、そして無数のスケッチ。ブルーナはほぼ毎日、自転車で街を横切り、この小さな空間で朝早くから描き続けたといいます。

質素な机、愛用していた自転車、無数に散らばるスケッチ。ブルーナは毎朝、自転車でユトレヒトの街を横切り、この小さな空間で静かに描き続けたといいます。彼の線は平面的で簡略化されていながら、決して感情を欠きません。「子どもに複雑なものを与えず、純粋な形と色で世界を提示する」という信念は、スタジオの機能的で美しい佇まいに如実に表れています。

机の上では、ブルーナがミッフィーを描く手元の映像が静かに流れ、本棚には世界各国で出版されたブルーナの絵本が並んでいます。

机の上では、ブルーナがミッフィーを描いている手元の映像が流れている

世界各国で出版されたブルーナの書籍。もちろん、日本語版も

最初のミッフィー



Centraal Museum(ユトレヒト中央博物館)
Agnietenstraat 1
3512 XA Utrecht
Centraal Museum Utrecht



ついでに立ち寄りたい:ミュージアムカフェと庭のミッフィー像


ミュージアムカフェではミッフィーのキャロットケーキやパンケーキが食べられます。また、屋外にはミッフィー像が二体あります。

カフェと庭にはチケットがなくても入れるのが嬉しいポイントです。

ミッフィーの絵本を読みながら

日本人にも食べやすいやさしい甘さ

ミッフィーの椅子は子供に人気

天気のいい日のテラス席は格別

お庭にいるミッフィー(その1)

お庭にいるミッフィー(その2)Richard Hutten作



Museumcafé Centraal(ミュージアムカフェ・セントラール)
Agnietenstraat 13
512 XA UtrechtMuseum café | Centraal Museum Utrecht



ミッフィーの世界を体験する:ミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)


ユトレヒト中央博物館の向かいにある

ミッフィーミュージアムの入口にいるミッフィー、Piet Paris作

中央博物館の向かいにあるミッフィーミュージアムは、ブルーナの哲学を「遊ぶ」ことで体感できる特別な場所です。ミッフィーの家、農場、交通広場といった小さな世界が、子どもたちの想像力を優しく刺激します。

原色(赤・黄・青・緑)の徹底した使用は、幼児の認知発達に配慮したものですが、同時に20世紀初頭の色彩理論とも深く結びついています。大きな壁画や投影を見上げると、なぜミッフィーが世界中の人々に「普遍的な親しみ」を与え続けるのかが身体で理解できます。



ミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)
Agnietenstraat 23
512 XB Utrecht



ついでに立ち寄りたい:ミュージアム内のギフトショップとミッフィーカフェ


ギフトショップでは、ブルーナのデザイン精神に沿った上質なお土産が見つかります。併設のカフェも、子どもから大人まで心地よい空間です。



ミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)
Agnietenstraat 2
3512 XB Utrechtnijntjemuseum.nl



マリア広場(Mariaplaats)のミッフィー&ブルーナ像


街の中心部、マリア広場にある像は、片面がミッフィー、もう片面がディック・ブルーナ自身というユニークな作品です。2015年のミッフィー誕生60周年記念アートイベント「ミッフィー・アート・パレード」で生まれたJacques Tangeの作品です。

(ちなみに、ユトレヒト中央博物館カフェとミッフィーミュージアム前の作品もミッフィー・アート・パレード参加作品です)


ミッフィー

裏面のディック・ブルーナ

ブルーナは生涯、この広場周辺を自転車で日常的に通り過ぎていました。像は観光客と地元の人々の生活動線に自然に溶け込み、パブリックアートとしての理想形を見せています。


2015年のミッフィー・アート・パレードの様子



マリア広場(Mariaplaats)
Mariaplaats 28
3511 LL Utrecht



ついでに立ち寄りたい:Banketbakkerij Theo Blom(Zadelstraat)


ブルーナが通っていた老舗菓子店。二人で協力して生み出した「Nijntje koekjes(ミッフィークッキー)」が今も販売されています。シンプルで上品なバターの風味は、ブルーナの「余計なものを削ぎ落とす」美学を思わせる味わいです。


10枚入り

このデザインは店主とブルーナが協力して制作したそう

クッキーひとつひとつにコピーライトマーク(c)が入ってる



テオ・ブロム(Banketbakkerij Theo Blom)
Zadelstraat 23
3511 LR Utrecht
Banketbakkerij Theo Blom



ミッフィーの信号機(Miffy traffic light)


Vredenburg近くの虹色の横断歩道にある信号機は、日常の安全を守りながらも、ささやかな喜びを与えてくれます。ブルーナのグラフィックデザインの才能が、街の機能美として息づいています。


百貨店Bijenkorf(バイエンコルフ)前のこの横断歩道が目印



ミッフィーの信号機(Miffy traffic light)
Vredenburgviaduct
3511 BK Utrecht



ミッフィー広場(Nijntje Pleintje / Miffy Square)


Vogelenbuurtの住宅街にある静かな広場。ブルーナの息子、マーク・ブルーナによる像が、近所の人々の憩いの場となっています。






ミッフィー広場(Nijntje Pleintje / Miffy Square)
1e Achterstraat 1
3512 VL Utrecht



ついでに立ち寄りたい:旧スタジオのミッフィーモザイク




ミッフィー広場と同じように住宅街の一角にあるのが、小さなミッフィーのモザイクです。かつてブルーナが働いていたアトリエの壁に残る角からこちらを覗くミッフィーは、派手さはないけれど、街の生活に芸術が溶け込んでいる様子が伝わってきます。



ディック・ブルーナの最初のアトリエ(Dirk Bruna 1st Studio)
Jeruzalemstraat 3
3512 KW Utrecht



さらに深く:ブルーナの日常とその他のゆかりの場所


Café Orloff


ブルーナが毎朝、自転車でスタジオへ向かう途中に立ち寄り、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいたカフェです。運河近くの落ち着いた雰囲気の中で、当時の彼の日常を想像するだけで、ミッフィーの世界がより身近に感じられます。ミッフィー&ディック・ブルーナゆかりの場所巡りの合間の休憩にぴったりです。

I.M. Dick Brunaのプレート

席が空いていれば、ここに座ることもできます

店内よりもテラス席が人気



Café Orloff
Donkere Gaard 8
3511 KW Utrecht
orloff.nl



ユトレヒト図書館(Library Neude)


美しい元郵便局の建物にある図書館。子ども向けコーナーにミッフィーの装飾があり、公共空間に芸術が根づく好例です。


ユトレヒト図書館(Bibliotheek Utrecht)
Neude 11
3512 TA Utrecht
De Bibliotheek Utrecht



ドム塔(Dom Tower)周辺と旧市街


ブルーナは1927年にユトレヒトで生まれ、生涯のほとんどをこの街で過ごしました。具体的な生家は非公開ですが、ドム塔周辺や運河沿いの旧市街は、彼が日常的に自転車で移動していたエリアです。朝の光や夕暮れの運河を眺めながら歩くと、ブルーナの原色使いやシンプルな構図の源泉を感じられます。

ドム塔

ボートが行き交う運河

ディック・ブルーナのイラストがあるお店



ドム塔(Domtoren)
Domplein 9
3512 JE Utrecht
Dom Tower



ショップ巡り


セントラルミュージアム1階のショップや街中のセレクトショップでグッズを探すのもいいですが、どうしても子ども向けのものが多くなります。大人向けのものを探すなら、オランダ全土で展開する雑貨店HEMAだと大人も持てる可愛いアイテムが見つかります。





Stayokay Utrecht Neudeのミッフィールーム


街の中心部にあるテーマルーム。一夜をミッフィーの世界で過ごす特別な体験は、ファンにとって忘れられない締めくくりになります。


ステイオーケー・ユトレヒト・セントラム(Stayokay Hostel Utrecht Centrum)
Neude 5
3512 AD Utrecht

ミッフィー、ディック・ブルーナゆかりの場所巡り - Google マップ



ゆかりの場所巡りを終えて


ユトレヒトのミッフィー巡りは、知的で心温まる散歩です。ブルーナの線はシンプルですが、そこに込められた温かみは時代を超えて私たちの心を掴みます。

カフェで温かいコーヒーを飲み、ミッフィーの絵本を開けば、巡りの余韻がさらに深まるでしょう。運河の反射光や自転車が行き交う音に耳を傾けながら、ぜひご自身のペースでこのやさしい世界に浸ってみてください。(ユトレヒトは小さな町なので、1日あれば十分まわれます)

*最新情報は公式サイトや現地でご確認ください。

ディック・ブルーナが使っていた自転車



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ミイル。ブログ Miiru 管理人。オランダ芸術や街散策を中心に、美術だけでなく建築なども含めた芸術について広く紹介します。Twitter: ミイル@miirublog

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