ウィーン旅行に出発する前の段階ではウィーン美術アカデミー(
Akademie der bildenden Künste Wien)に寄る予定はなかったのですが、ボッシュの作品があると知って無理やり予定に入れ込みました。
↓2016年にあった伝説的なボッシュの大回顧展で展示されていなかったはず…
ウィーン美術アカデミーはアカデミーの名の通り、現在も学校としてたくさんの生徒が通っています。
校内に入ると学生たちが廊下を行き来して、カンティーナでは楽しくおしゃべりして、教室ではまじめに勉強や作業に取り組んでいます。掲示板にアートギャラリーお知らせや様々なアクティビティの募集のチラシがたくさん貼られていて活発な活動が行われていることをうかがわせます。
美術アカデミーの絵画コレクションを展示する絵画館の入口はこちら。
油絵の具の匂いがする階段を昇って、静かな廊下を歩いた先にあります。
上は展示室のマップです。赤い矢印の所が入口で1番の部屋から始まって、お目当てのボッシュの作品があるのは左の11番の部屋です。
時間があまりなかったので急ぎ足で11番の部屋を目指しながらも、
クラナッハやルーベンス、レンブラントなど有名画家の作品や、18世紀後半の火山噴火などの自然災害を描いた作品などを興味深く見ながら展示室を進んでいきました。
これらの作品は展覧会「History Tales. Fact and Fiction in History Painting」に合わせて展示されたものです。展覧会では、過去の歴史的事象を描いた歴史画が、描かれた時代の社会通念に合わせていかに変容していったのかをテーマごとに作品を集めて展示されていました。
並べてみると、確かにその歴史的事象が時代によってどのように捉えられていたのかを示すタイムカプセルのように感じられました。
最後の展示室にヒエロニムス・ボッシュ《最後の審判の三連祭壇画》がありました。
中央パネルは最後の審判が描かれていて、その左側はエデンの園、右側には地獄を描いています。
画面上の雲の上に座っているキリストが座っていて、左上に聖母マリア、右上に父なる神、そして左右に12使徒が集まっています。そして、その周りを4人の天使が最後の審判を知らせるラッパを吹いています。
その下には火事で燃えてしまった町が拡がり、さらにその下には罪人に拷問を仕掛けるモンスターたちがいます。
ボッシュの描くモンスターはゆるキャラのようなちょっとした愛らしさや抜けてる感じがありますが、ここにいるモンスターたちは容赦がなく人間を罰する厳しい表情をしています。
左翼パネル。
パネル中央でアダムとイブを楽園から追放する(追い払う)天使の必死さがかわいい。
右翼パネルに描かれた地獄。
ここではモンスターではなく悪魔たちが罪人たちを拷問で責めています。
この三連画は三面鏡の様に閉じることができます。閉じたときに表になる部分はグリザイユで聖人が描かれています。
上は聖ヤコブです。
こちらは聖バーフ。
聖人の足元の布に置かれた義足と右側の子ども(赤ん坊?)の頭の上に載せられたボウルが気になりましたが、まだよくわかっていないようです。
ボッシュの作品はとても興味深くて、時間があまりない中でも来てよかったと思いました。
Academy of Fine Arts ViennaArt Collections
Schillerplatz 3
1010 Wien
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