その教会がサン・フアン・デ・ディオス聖堂(Basílica de San Juan de Dios)です。
外観は上のような一般的な教会です。でも、中にはいると……

一転して、この豪華さ!黄金と色彩が氾濫しています。
結果的に、今回のスペイン・グラナダ旅行で一番強烈な印象を受けた場所となりました。サン・フアン・デ・ディオス聖堂はバロックの極致とも言える豪華さで、どこを見ても金色の輝きと細やかな装飾が広がります。
一言で表すと、「教会と豪華な邸宅と劇場が一体化したような場所」でした。神に対する敬虔な気持ちとか歴史に想いを馳せる……とかいった深い気持ちではなく、ただひたすら「凄い!凄すぎる!!!」と神の栄光を浴びて圧倒されました。

金箔で覆われた巨大な主祭壇は、愛と慈悲をテーマにしたバロック様式の最高傑作です。
祭壇は高さ約20メートルに及び、全面に金箔が施されています。木材を基盤に、金箔や彩色が施された彫刻が層状に重なり、視覚的な奥行きを生み出しています。祭壇のデザインは、建築家ホセ・デ・バダ(José de Bada)の監督の下で完成したそうです。

祭壇の上部には、天使を従えた「無原罪の御宿り」の聖母マリアの像があり、その下に聖人サン・フアン・デ・ディオスの聖遺物を納めた銀製の聖櫃が置かれています。
聖人サン・フアン・デ・ディオスとは
サン・フアン・デ・ディオスは1495年にポルトガルで生まれ、1550年3月8日にスペインのグラナダで亡くなりました。彼は病人や貧しい人々の世話に生涯を捧げ、現代看護の先駆者とも称されているのだそうです。
彼は、グラナダで貧困層や病人を収容する施設を設立し、医療と慈悲を組み合わせたケアを提供しました。当時の病院は衛生状態が悪く、貧しい人々は十分な治療を受けられませんでしたが、サン・フアンは彼らに清潔な環境を与え看護をおこないました。
サン・フアンの死後、彼の理念を引き継いだ弟子たちによって「サン・フアン・デ・ディオスの病院騎士団」が正式に設立され、今日も世界中で病院や慈善施設を運営し、医療と福祉の分野で活動を続けてます。
サン・フアンは貧困や病に苦しむ人々への無条件の愛と奉仕を通じてキリスト教の慈悲を体現した人物とされ、この教会は彼の遺志を記念して造られたものだそう。
サン・フアンの名を関した教会がこれだけ美しく保たれていることで、現在もたくさんの人々を彼を讃えていることがわかります。
バロックのダイナミズムがよくわかる装飾

祭壇の彫刻には、天使や聖人、植物モチーフが細かく彫り込まれ、バロックのダイナミズムを表現されています。壁や柱にも隙間を恐れるかのように装飾が施されています。
![]() |
主祭壇 |
ひときわ輝く主祭壇と、その手前に52メートルの高さにそびえるドームが見えます。ステンドグラスを嵌め込んだ窓でさらに荘厳さを増しています。
聖遺物が置かれたカマリン(Camarín)
![]() |
主祭壇中央の聖遺物が置かれたカマリン(Camarín) |
カマリンは、主祭壇の裏に位置する小さな礼拝堂で、サン・フアン・デ・ディオスの聖遺物が展示される神聖な空間です。この部屋は、バシリカの内部装飾の中でも特に豪華で、「バロックの宝石箱」とも称されます。
カマリンの壁、床、天井はほぼ全面が金箔で覆われ、輝きが空間を満たします。

天井は、ディエゴ・サンチェス・サラビアによるフレスコ画で覆われ、聖母の被昇天やサン・フアンの奇跡が描かれています。光が金箔に反射することで、空間全体が神秘的な輝きを放ち、神の光に包まれているかのようです。

ここにはサン・フアンの聖遺物や彼が常に持ち歩いていた木製の十字架、歯、茨の冠などが展示されています。金や銀の輝きが眩しくて、細かな装飾まで見ることができないほどです。
「バロックの爆発」といわれるのもうなづけます。
![]() |
カマリンから見る景色。 |
バロックの爆発を浴びる
バシリカ・デ・サン・フアン・デ・ディオスは、グラナダの歴史とバロック芸術の美しさを体感できる場所です。アルハンブラ宮殿やグラナダ大聖堂からは少し離れていますが、神の栄光を肌で感じてみたい方にお勧めできる場所です。
▼サン・ファン・デ・ディオス聖堂の公式サイト
0 件のコメント:
コメントを投稿