サグラリオ教区教会の入口。左に行くとグラナダ大聖堂の入口がある。 |
サグラリオ教区教会はグラナダ大聖堂やロイヤル・チャペル(Capilla Real de Granadaに隣接しているので、グラナダの中心部を観光する際に立ち寄りやすい場所です。でも、グラナダ大聖堂と同じ通りにあるために誤って入ってしまう人もいるようです。
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隣接する3つの教会。矢印は各入口の位置を示します:サグラリオ教区教会(黄緑)、グラナダ大聖堂(オレンジ)、ロイヤル・チャペル(青)。© Google Maps |
黄緑色で囲った場所がサグラリオ教区教会でその隣のオレンジ色の部分がグラナダ大聖堂です。矢印は各協会の入口の位置を示しています。
この区画には3つの教会が隣り合っているし、グーグルマップで一般人が投稿している写真やオンラインの旅行だとこの3つの教会を混同して記載していたりするので、間違えてしまうのもわかる気がします。
歴史の層を重ねた教会
サグラリオ教区教会は、11世紀の主要モスク(Mezquita Mayor)の跡地に1704年に建設されました。レコンキスタ後、モスクはキリスト教の礼拝所に転用され、グラナダ大聖堂の建設とともに、この場所にサグラリオ教会が建てられました。聖櫃(サグラリオ)を保管する役割を担い、大聖堂と密接な関係を持つ教会として機能しています。
しかし、外壁も教会内部もモスクとしての面影なくキリスト教の教会として作り変えられており、ここがかつて異なる信仰の中心だったことを想像すると歴史の無常を感じます。
教会の建設は資金不足により遅延しましたが、1717年に再開され、1759年に完成しました。建築家ホセ・デ・バダ・イ・ナバハス(José de Bada y Navajas)の手によるバロック様式の建物は、シンプルながらも威厳があります。横に並び、ファサードを共有するグラナダ大聖堂の荘厳さに比べるとずいぶん控えめな印象です。
建築と内部の美しさ
教会に足を踏み入れると、まず目を引くのは十字形の平面プラン(ギリシャ十字)と中央にそびえる半球形のクーポラです。

広すぎず狭すぎず、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。柱や壁にはコリント式の半円柱が配され、バロックらしい装飾が施されていますが、派手すぎないのが印象的でした。光がクーポラから柔らかく差し込み、内部を温かく照らす様子は、まるで神聖な空間に招かれたような気分にさせてくれます。

特に心に残ったのは、祭壇にあるホセ・デ・バダが設計を監督したとされる大理石の聖櫃。色とりどりの大理石と、アロンソ・カノの「無原罪の御宿り」(レプリカ)が目を引きます。
モスクから教会へ
サグラリオ教区教会は、グラナダの華やかな観光スポットの中では控えめな存在かもしれませんが、その分、静かで心落ち着く時間が過ごせました。
モスクから教会へと変遷した歴史、洗練されたバロック建築、そして地元の人々の信仰の場としての温かさ。カテドラルの隣にひっそりと佇むこの教会は、グラナダの多層的な歴史と文化を静かに物語っているようです。
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