聖書の「創世記」中で語られる「バベルの塔」の物語は、よく知られています。
「バベルの塔」の物語は、天まで届く高い塔を建造する人間たちの計画が神の怒りにふれ、神は人間たちが共通言語を持っているがためにこのような計画を立てたと考え、人間たちが意思疎通がはかれないように言語を乱し、計画を頓挫させたというものです。
人間の傲慢さがよく表れた話であり、また空想的な巨大建造物「バベルの塔」を描きたい芸術家たちによって何度も取り上げられてきたモティーフでもあります。
ただ、現代だとブリューゲルの《バベルの塔》の存在が大きくて、その呪縛が解けていな
い作品があるのも事実です。
関連記事
オランダだと《バベルの塔》を独り占めして鑑賞できますよ。
しかしながら、Carlijn Kingmaが描くバベルの塔は、人間が目指した空想的なユートピアと巨大建築を建造する機械化された近代の姿が融合しています。
彼女は建築を学んだ彼女は、建築物はもちろんそれを取り巻く社会や人間模様、それらすべてを物語にして、ドローイングとともに提示します。
上の写真だけを見ると、バベルの塔ではなくて、ホテルや百貨店の入り口のようです。
作品の周囲には物語が記されています。カリカリと壁に刻まれた彼女の文字は、何かの啓示のようです。
ドローイングと物語。物語を読みつつ、絵を見て物語に戻る。現代版に書き直した装飾写本を読んでいる気分でした。
Carlijn Kingma – Utopia in sight
2017.11.21-2018.02.26
Gemeentemuseum, Den Haag
Stadhouderslaan 41
2517HV, Den Haag
https://www.gemeentemuseum.nl/en
0 件のコメント:
コメントを投稿